(144)「新政権のあせり」 2010/05/06
一昨日、鳩山総理が沖縄を訪問しました。厳しい批判に晒されることを 覚悟の上で単身乗り込んでいく勇気には敬服しますが、事態を打開するに 至らなかったことは残念でなりません。この問題については、 双方向コミュニケーションが可能なミニ集会やお茶の間集会において、 改めて私の見解をお伝えしていくつもりです。
さて、この連休中、私は海外出張には出ずに危機管理のための留守番 でした。この間、新政権のこれまでを振り返り、新政権の意味について あらためて考えてみました。その考えの一部を文章にしたのが本メルマガです。
1.鳩山政権の支持率下落と新政権のあせり
鳩山政権の支持率が各種世論調査において20%前半で低迷しています。 何故こんなに早く支持率が下がってしまうのでしょうか?何故、新政権は こうも自らあせり「新政権の命」である「国民の支持」を失ってしまう のでしょうか?また一方、何故、国民は自分達が創った新政権をこんなに 早く見放してしまうのでしょうか?
私には新政権、国民、ともにあまりに事を急ぎ過ぎていると思えてなりません。 新政権発足と同時に外務大臣政務官として政府の一員となった為、 これまで個人的見解をお伝えすることは極力差し控えてきましたが、 本メルマガでは(言えることに限界はありますが)衆議院議員吉良州司 としての個人的見解をお伝えしようと思います。
2.民主党の歴史的使命
(1)民主党は政権交代を実現するための政党
民主党は本当に多種多様な人材の集まりです。将来的な国家ビジョンを まとめるにはかなりの議論と時間が必要です。しかし、自民党政権に終止符を 打つこと、官僚への依存体質を改めること、税金の無駄遣いを根絶すること、 この3点においては極めて強い絆で結ばれています。この3点を実現するために 一致結束して政権交代を目指した政党です。 旧来型の野党と違ったところは、まず、政権を取るという明確な意志を 持っていたことです。また、政権交代前の自民党が現代日本の閉塞感の元凶 であるとの認識を持っている反面、戦後復興と高度成長を通して日本を経済的に 世界の一流国に押し上げた嘗ての自民党の功績は認めていることです。つまり 単なる批判野党ではなく、自民党に替わって政権を担いうる政党として国民に 認知してもらい、結果として政権交代を実現することを第一次目的としてきた 政党なのです。
(2)総選挙による政権奪取だけでは目的を達成したことにはならない
しかし、総選挙による政権獲得だけでは目的を達成したことにはなりません。 野党時代、あらゆることに政権交代を優先させてきたのは、自民党を下野させ、 予算編成権・配分権、支援団体に有利な制度制定権(法律制定権)を 自民党から切離すためです。自民党を支持してきた業界・団体など 自民党応援団は、実は「自民党支持」ではなく「政権党支持」であった からです。そして、自民党が万年政権党であった55年体制には二度と戻らない ということを天下に知らしめなければなりません。システムとしての 自民党政治を終焉させることが政権交代の第一次目的であり、これを 実現しなければ政権交代の意味がないのです。そして、そのためには 次回参議院選挙で、民主党が過半数を制するか、少なくとも自民党の政権復帰は ありえないという結果を出さなければなりません。総選挙によって衆院多数を 制して政権を担っても、参院選挙で自民党を勢いづかせたのでは自民党復権を 望む人々や業界団体の(諦めを含む)意識改革が進まず、「自民党政治システム」 を終焉させることができないのです。
(3)国民が民主党に期待したこと
昨年8月30日、多くの国民は民主党が掲げたマニフェストの全てを支持した わけではなく、民主党を政権の受け皿として認知し、「やれるかどうか わからないが、自民党よりはましだろう。一度やらせてみよう」という気持ちで 民主党を支持してくれたのだと思います。一方、民主党が野党時代に徹底的に 追及した「税金無駄遣いの根絶」と、「官僚への依存体質を改めること」に ついては、野党時代の実績を評価して、大いに期待してくれているのだと思います。 であるならば、新政権は、「事業仕分け」に代表される「税金無駄遣い根絶」 とその背景にある「官僚依存体質からの脱却」をひたすら推し進め、 「自民党政治システム」を終焉させるために、参院選勝利にむけた活動に 専念すべきであると思っています。同時に、あるべき国家像についての議論を 徹底的に深めるべきだと思います。 しかるに、スタートダッシュでいきなり先頭に立ってリードしたいという 思いが強いのか、野党時代に掲げたマニフェストの実現など新政権の独自色を 出そう出そうと、国民の期待以上に、少しあせり過ぎているのではないかと 思えてなりません。
3.新政権はあせり過ぎている
(1)明治維新と政権交代
明治維新も大政奉還は1867年に為されたものの、「江戸時代の意識」と 「幕藩・士農工商システム」が終焉するまでには、版籍奉還、廃藩置県、 地租改正、廃刀令、西南戦争終結の1877年まで、およそ10年もかかっています。 明治新政府の一番の大改革であり「幕藩システム」を実質的に解体した 廃藩置県は1871年であり、大政奉還から4年の月日が流れているのです。 現在の日本の政治状況は、江戸城を明け渡した(政権交代)だけで、 いまだに北越戦争や函館五稜郭の戦いは終わっていないのです (奥羽越列藩同盟の地域のみなさんには大変申し訳ありませんが、 比較的分かりやすい表現として使わせて戴きますのでお許しください)。 今、もっとも大事なことは55年体制とその幻想に終止符を打ち、新しい時代に 向かって歩き出す覚悟、もう決して後ろを振り向かない覚悟を決めることです。
(2)民間企業のトップ交代と政権交代
民間企業の長期政権が代替わりする時、如何に、新社長が前社長に批判的で あったとしても、交代1年目からいきなり、前社長派役員や幹部を更迭したり、 前社長時代の経営方針を真逆にひっくり返すようなことはしません。 前社長の任期が長ければ長いほど、新社長色を出すまでには時間がかかる ものです。事を急ぎすぎず、手順を踏んで改革していくことが、結局は 大胆な改革ができる王道です。 政権交代の場合は、堂々と前政権を批判し、「自分達ならこのように変革する!」 と訴えることによりその支持を得て政権に就くわけですから、のんびりした 変革では国民の支持を失う可能性があります。この点は政治と民間企業の 政権交代を同じ土俵で論じることはできませんが、相通じるところもあります。 経営者であれ、サラリーマンであれ、日々現実と向き合っている国民の多くの みなさんは、このことを充分ご存知です。まずは期待していることをやってさえ くれれば、(大改革には時間がかかるということがわかっているので)温かく 見守ってくれるはずです。むしろ、一緒に改革しよう、協力するぞ!と言って くれると思うのです。だからこそ、新政権はあせってはならないと思うのです。
4.強力な政権基盤があってこそ大胆な改革ができる
くどいですが、あせってはいけないもう一例を挙げさせてください。 1988年の竹下登首相による消費税の導入以来、わが国では、将来のために 痛みを伴う大改革をやったことがありません。小選挙区導入、金融ビッグバン、 郵政改革など、大きな改革はやっています。しかし、広く国民生活に直接影響 する改革は竹下内閣以来実行されていません。竹下内閣はリクルート事件に より世論の支持を失い退陣しますが、政権基盤という意味では安定した政権であり、 それだからこそ、消費税導入という歴史的偉業を成遂げられたのだと思います。 自民党的政治システム終焉後の新しい国創りの為の政策立案・実行は政権基盤の 安定なくしてはありえないのです。 現政権の政権基盤を安定させるために必要なことは、参院選に勝つこと、 負けないこと、そして、憲法、安全保障、世界平和と繁栄のための貢献、外交、 グローバル経済の中で力強く生き抜く人材育成、社会保障政策、経済政策などなど、 について与党として徹底的に議論して方向性を打ち出すこと、そして、 その過程において、新しい時代の幸せ観について、国民一人ひとりにじっくり 考えてもらうこと、だと思います。
現在は、江戸時代から明治に代わる時と同じような大激動期です。決して あせることなく、遠い将来と足元を同時に見つめながら、国民のみなさんと ともに歩む政権となれるよう頑張ります。 国民のみなさんもあせることなく、温かく新政権を見守って戴けると ありがたく存じます。
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