活動報告

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(5月17日配信メルマガ)「国際社会の変化と日本」 2008年5月23日



みなさん こんにちは 
吉良州司です。

 

今日は、5月15日、16日と元外務省幹部による「国際社会の変化と日本」といった趣旨の話を聞く機会がありましたので、みなさんにその要旨をお伝えしたいと思います。

実名でお伝えしたいところですが、「退官してから思い切った発言ができるようになった」と、それまでの「お役所」の幹部としての縛りから開放されての発言ですが、やはり、それまで幹部の任にあった方々であることと、筆跡は吉良州司の責任であることから、敢えて名前は伏せさせて戴きます。

 

QTE

日時:2008年5月16日早朝
講師:外務省元次官級幹部
テーマ:国際社会の大きな変化と日本の対応

 

1.世界は現在質的大変化がおこっている。   ー国際社会の相場観を話したいー
(1)Power Balanceが大きく変化している。
・西側から東側に力が移りつつある。
・東京オリンピック時、日本のGDPは中国の5倍。プラザ合意時同8倍。現在は2倍。今後、20年の間に中国のGDPは日本を越える。中には今後3年以内に追い越すとみる専門家もいる。


(2)第二次大戦後今日までの大きな変化は、日本、ドイツの復興、発展であった。しかし、これは西側の枠内の話。世銀、IMF、OECD、NATO、日米同盟など、西側の安全保障、経済的枠組みの中での変化であった。また、日独の人口は世界人口の6%。


(3)中国、インドの台頭は全く質が違う。
・既存の仕組、機構だけでは対処しきれない。中国、インドは加入していない為。
・また、中国、インドの国内問題があまりに大き過ぎる。国内の経済格差、エネルギー効率の悪さ、水問題など、国内に大きな問題を抱えている。
・安全保障面では、中国は14カ国と国境を接しているが、どこの国とも同盟を結んでいない。
・中国、インドの人口は世界人口の53%にもなる。


(4)世界の食料問題、石油価格上昇問題、金融不安問題、全てがリンクしている。
・ 根本は、BRICSなどの新興市場の需要が大きく増加していること。
・西側の既存の仕組でコントロールできる時代ではなくなった。
・しかし、それに代わる仕組みが出来上がっていない。

 


2.米国大統領選挙
(1)米国大統領選挙の結果が今後の世界情勢に大きな影響を与える。
・共和党は伝統的に二国間の同盟を重視。
・民主党は経済的メリットとして日本より中国だという判断もありかもしれない。また、マルチ関係を重視する点で共和党と異なる。
・現状、民主党が負ける要素はないが、オバマ、クリントンの争いの長期化がマイナスの影響を与える可能性がある。この間、共和党は着々と資金集めと支持拡大運動を展開している。


(2)米国の行動を起こす際の判断材料
  1)enforcement(実行):誰が行動を起こすのか。米国単独か同盟か国連か等
  2)burden sharing(負担):誰が負担するのか。   ーおもいやり予算にも関係
  3)legitimacy(正当性)またはBase:正当性をどこに持っていくか。
この米国の行動判断原理を理解した上で、日本の外交判断をしていく必要あり。


 

3.日本が進むべき方向   ー東アジア共同体の実現へー
(1)東アジアにおいて、日本が価値ある方策、提案ができるかどうか、日本の価値が問われるところ。打ち出せなければ、日本は孤立、衰退していく。


(2)中国の軍事大国化への脅威について。
・現在の中国にとって、安全保障は最優先問題ではない。国内経済発展が最優先。
・中国のGDPの約70%は貿易がらみ。外国との関係なくして経済発展はありえない。外国との友好関係構築が大事な課題。
・その意味で、胡錦濤国家主席の訪日時のソフト路線も日本との関係再構築志向の表れ。何故なら、2005年の対日暴動は中国にとっても予想以上に大きな拡がりであり、日中関係の危機でもあった。
・中国の軍事費はGDPの2%。日本は同1%。中国のGDPが日本と同じになれば、軍事費は日本の2倍になる。GDPが日本の5倍になれば軍事費は10倍になる。
・日本にとってのこの問題の解決策は、中国軍事費の透明性確保と日米同盟を外交の基盤とすること。しかし、日米同盟の安定かだけでは、軍事脅威に対する抑止でしかない。抑止だけではダメで、抑止と外交が必要。


(3)日米中の3カ国の枠組みを作る必要性
・日米中の3カ国の安定関係(EPA締結を含む)を持つことが東アジアの安定と発展に必要不可欠。


(4)東アジア・サミット16カ国(米、豪も加える)会合が必要
・米国は東アジアに大きなプレゼンスを持っている。特に、Military assetを持っている。インドネシアやタイの津波被害の際も米軍の援助が役立った。


(5)集団的自衛権につき、憲法改正または政府の憲法解釈を変更する必要あり。
・たとえば、海賊が横行するマラッカ海峡で、船舶航行を守る国際的協力の際、日本だけ、憲法上の問題あるからといって逃げることはできない。
・米国との同盟関係上も形のうえでは対等関係が必要。
・ドイツはPKOに8000人派遣している。日本は国内世論的な制約あり。
・この点につき、過去の国会答弁がどうだったと突き上げる野党の対応は、意味がないどころか政治を曲げている。我々は過去に生きているわけではなく、これからを生きる。過去の政府解釈は冷戦構造時代のもの。環境が変われば、新しい環境下での判断があってしかるべき。


(6)今、世界の質的変化の時に、日本は何をしなければならないかを議論すべき。
・中国、インドの台頭で利益を得る具体論、その最大化の具体論を議論すべき。
・農業は大事だが壁を作るのではなく、もっと大局からEPA構築を判断すべき。


(7)ルールつくりを進める
・中国は2001年にWTOに加盟して以来急速に発展した。ルールが明確であれば外資も安心して投資できるから。
・日本はEPA関係国を拡大すべき。
・東アジアにおけるルールづくりにイニシアティヴを発揮すべき。
・外交はこのような外交ツールがなくて、外交しろといっても無理。
・東アジア共同体の構築に向けて歩き始めるべき。

 


4.北朝鮮問題
(1)拉致などの個別問題は大きな枠組みの中で解決すべき。そうでなければ解決できない。
・北朝鮮は体制維持が最大の目的。
・90年代半ば、米国との関係は良好だったが、米国の政権が変わって対北政策が変わった。米国は政権交代で政策が変わることを北朝鮮が認識。
・その結果、核を持つ以外に体制維持ができないと判断した。


(2)6カ国協議や日米韓中など大きな枠組みの中で解決していくしか解決方法はない。

UNQTE

上記は要旨のみのメモですので、発言の全てではありません。上記要旨には記載していない経験談の中で、プロとしての外交官、プロとしての交渉人の見識と気概を感じた次第です。今の政治や官僚に欠けている「プロ意識」を感じさせてもらったひとときでした。

官僚にもいろいろな人間がいますが、志とプロ意識をもった官僚の有効活用は必要とあらためて感じた次第です。


−吉良州司−

 

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