活動報告

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メルマガ(2008年2月18日発行)「真に必要な道路の効率的整備についての具体的方法論」 2008年2月18日

 


みなさん こんにちは。
吉良州司です。
 
 さて、前回のメルマガでは、「真に必要な道路整備」を限られた財源で実現する具体的方法論を披露していく第一歩として、5年前の大分県知事選挙に敗れた後に私のホームページに掲載した「大分のインフラ整備について」という文章を読んで戴きました。この中で、民間活力を利用した民間プロジェクト的発想で、できるだけ税金の投入額を少なくして(限られた財源の中で)、質の高いインフラを整備し、同時に、この方法を通じて新たなビジネスチャンスを民間企業に提供し、経済活性化と雇用の促進を図ることができないものか、という問題提起をさせて戴きました。
 
 本メルマガでは、その方法論につき、もう少し具体的提案をしたいと思います。

 
<インドのタタ自動車28万円の衝撃と民間企業の執念>
 
 まず、いきなり話を脱線させて戴きますが、私たちの常識では、価格の安い大衆車、低価格車といっても日本円で100万円くらいはすると思っています。これを半額の50万円にするなどとは俄かには信じられません。しかし、インドのタタ財閥の中核企業であるタタ自動車は10万ルピー(約28万円)の軽自動車「Nano(ナノ)」(624cc、5人乗り)を2008年9月に発売すると発表しました。世界の常識を覆す、信じられないような低価格車です。急速な経済成長により高所得者や中流層が拡大しているとはいえ、まだ国民一人当たりの所得が低いインドです(2006年世界銀行調べによると820米ドル/人・年=約8万7000円/人・年)。購買者の所得水準を考えて、ワイパーも一本、ラジオもクーラーも付いていない「ガソリンで動く単純移動手段の箱」としての車を28万円で作ったのです。一切の贅肉を削ぎ落として「顧客の手が届く」(という目的に向かって一目散に突き進む)低価格を実現したのです。買い手の所得レベルに配慮しながらの実需に対処した、顧客志向に徹した民間企業の執念であり、素晴らしい快挙だと思っています。

  勿論、地球規模で温暖化対策、環境問題に取り組まなくてはならない現在の状況下で、中国、インドのような人口大国の一般庶民がガソリンの大量消費時代を迎えることに対する配慮は必要だと思っていますが、インドにおいて成長しつつある中流層のニーズに応える快挙であることは間違いないと思います。

 


<顧客の要求に応える民間の知恵と活力>

 
 民間企業の顧客第一志向がもたらす「突破力」や「時代の開拓力」の一方で、耐震偽装のように、法を犯してまで利益追求するような行き過ぎた行動は厳に慎むべきことは言うまでもありません。モラルハザードに陥らせない工夫をしながら、民間企業の顧客ニーズに応えようとする知恵、活力、執念、突破力を最大限活用し、限られた財源の中でも真に必要な道路を整備することに挑戦するのが本メルマガのテーマです。

 
<入札改革により道路建設や維持補修の単価を下げられる>
 
 現在の道路特定財源問題の議論の中で決定的に欠けていることは「仮に10箇所100億円かかるといわれている道路整備事業を、創意工夫によって60億円とか70億円で10箇所の事業を実現できないか」という問題提起です。
与党の主張は「財源が70億円しかなければ、道路は7箇所しかできない。100億円確保しなければ、必要な道路10箇所の整備はできない」と、財源確保自体が目的化しているような主張と受け取れます。
 
  一方の民主党は、「国土交通省の中期計画が本当に必要な道路ばかりなのか疑問。計画の見直しにより、6箇所60億円で十分ではないか」といった計画見直しの提案や「指名競争入札をやめて一般競争入札にするなど『入札改革』をすることで単価を安くし、財源の不足分は補える」といった反論をしています。
 
  このような議論に対して、私は入札改革の具体的方法論を提示して、10箇所100億円ではなく、60億円なり70億円の財源で10箇所の道路整備ができる提案をしたいと思います。

 
<道路建設、保守一体の『総合事業型プロジェクト』の提案>
 
 私が民間活力による「突破力」、「時代の開拓力」を信じて提案しようとしている入札改革の具体的内容は以下の通りです。
 
(1)道路建設、維持補修、金融を一体総合事業として入札にかける

(2)入札対象は個々の事業箇所とせず、かなり大きなまとまりを入札対象とする。

*たとえば国土交通省の10年間の中期計画にある大分県の計画内容につき、再度その必要度を審査した上で、その必要となった大分県内の10年分の全箇所をひとつの事業単位とするとか、北半分の10年分、南半分の10年分を各々ひとつの事業単位とするなど、かなり大きくまとまった箇所数を併せてひとつの事業単位とし入札対象とする。


(3)入札は国際競争入札とし、参加企業の国籍は問わない。但し、先ず最初に技術審査、信用力審査を厳格に行い、両審査に合格した応札者のみ価格審査を受けられる仕組みとする。


(4)地場企業や(地場ではない)国内企業に対する入札評価上の優遇措置を容認する。但し、絶対条件ではなく、地場企業対策として必要と思われる地域で実施。

*たとえば、地場企業20%、国内企業10%といった入札評価上の優遇を認めることにより、仮に中国企業Cが82億円、東京を本社とする国内企業Bが91億円、地場企業Aが100億円で応札した場合は、A社が評価額(100−20=)80億円となり受注する。仮にCが78億円、Bが91億円、Cが100億円の場合はC社が受注する。また、Cが81億円、Bが89億円、Aが100億円の場合はBが受注する。
尚、私の独自調査では、これらの優遇措置がWTO、ドーハ・ラウンド交渉、FTA上の禁止規定に抵触しないと了解していますが、念のため、確認をします。


(5)国や自治体による元請受注者に対する支払い条件は、入札書類上は定型を示すが、 金融まで含めた総合事業入札であることに鑑み、応札者側による支払条件提示も評価対象とする。


(6)道路構造令を基本としつつも、各地域、個別箇所の実情とコスト削減に配慮した道路構造令からのdeviation(入札や構造令上の条件と提案条件との乖離のこと)を容認し、応札者の構造提案も認める。
 

 何故、上記の入札形態を提案するかにつき補足致します。
 
(1)まず、何故、建設、維持補修、金融を一体総合事業とするのか?

  現在の議論は「道路建設費」がいくらかかるのかという議論が中心です。ところが究極の発注者である国民、その支払い金額を負担する国民の立場に立てば、道路の建設があり、維持補修があり、その両方に対するお金の調達があり、これら全てが国民の負担ですから、これらを一体として捉え、最も高い品質がベストですが、まあ受諾できる良質のものを一番安いコストで買いたいのは当然です。

  分かりやすくするために極端な仮の話をします。建設費は100億円だが、毎年の維持補修に5億円かかる提案Pと、建設費は120億円だが毎年の維持補修費用が1億円の提案Qでは、(20億円分先に支払う)金利コストを考慮しても、6年目の途中からはQの方が安くなる優れた提案となります。車を選ぶ時、ガソリンが高い時期だけに、初期の購入価格も勿論大事ですが、燃費をより重視する消費行動と同じ理屈です。

 (2)入札対象は個々の事業箇所とせず、何故、大括りの入札対象とするのか?

 一番大きな理由は、提案者側に資材調達のスケールメリットを享受してもらい、事業コストを安く、すなわち国民負担を小さくするためです。また、提案者側にしてみれば、建設の長期、大型の注文を取れるわけで、新形態の応札準備のためのコストを別とすれば(この対策は後述)、個別に何箇所も応札することに比べ、受注した場合の経営効率が高くなります。また、長期に亘って維持補修業を請け負うことは経営上も極めて効率的であり、建設との組み合わせで大きな価格の低減に繋がります。
 
*応札準備の費用の一部を国や自治体が地場企業の育成の観点から、応札者に対して補助してもいいと思います。何故なら、この入札手法では民間企業に事業を提案してもらう(官からみれば、調査内容と知恵を借りる)わけですから、コンサルタント料や技術提案料として国や自治体がその対価を実際の応札者に支払うことには正当性があると思います。もちろん、入札参加して補助金をもらうことだけを目的とする企業を排除するための仕組みは必要ですし、どの程度の補助を出すか、程度問題は各自治体で判断すべきだと思います。 


(3)何故、国際競争入札とするのか?

 透明性を高めて談合を防ぎ、結果としていいものを安く買う(造る)ためです。「安かろう、悪かろう」を防ぐために、上述したように、技術審査、信用力審査を厳密に行います。この国際入札には、非常に多くの団体、人が抵抗を示すと思いますが、日本企業は海外の公共工事に応札し、80年代前半までは向かうところ敵なしの状況でした。出ていくのはいいが、入ってくるのは駄目だでは、通用しません。
 
(4)国際競争入札を実施するのに何故、地場企業や国内企業に対する入札評価上の優遇措置を容認するのか?

  この問いに対する答えには多くの説明は必要ないでしょう。地場企業、国内企業への政治的配慮であり、国際競争入札による全体の価格低減効果を担保しつつ、できれば地場企業、国内企業に受注してもらいたいからです。また、地場企業の競争力や開拓力を育てるためでもあります。
 
(5)何故、応札者側による支払条件提示も評価対象とするのか?

  民間企業にとっては「お金には金利がかかる」ことは当たり前ですが、「お役所」「官」には財政当局を除いて、ほとんど「金利の概念」がありません。時間的に早く、そして多く支払えば、それだけ国民の金利負担が増えるのです。応札者側としても、契約時点での前金支払いや建設段階での出来高払いは絶対条件だと思いますが、少しでも国民の金利負担が少なくなる(結果として安くなる)支払い条件についても知恵を絞ってもらい、競ってもらいたいからです。
 
 少し、専門的になりますが、受注した元請業者(多くの場合、受注者は建設会社数社と金融機関などのコンソーシアムになると思います)が、当該プロジェクト実施のための会社を設立し、この会社が銀行から融資をうけることもできますし、社債を発行して、プロジェクト開始段階で全額資金調達することも可能になります。その意味でも、地場の金融機関の成長・育成にも役立つ可能性があります。もちろん、プロジェクトへの支払いは国や自治体の予算が当てられるわけですから、返済原資は安全です。もっとも、夕張市の例がありますから、自治体によっては返済が不安だという場合もあるかもしれませんが。
 
(6)何故、道路構造令からのdeviationを容認し、応札者の構造提案も認めるのか?
 
 道路構造令では、拡幅、勾配、曲線半径など設計基準が事細かに決められています。勿論、安全に配慮しての基準であることは100も承知しています。しかし、長野県栄村や同県下条村の例のように、単位距離当たりの建設費が、構造例に従った場合11万円/m、栄村独自案2万円/m、下条村独自案3400円/mなど、地域のニーズに応えることを目的として簡素化した場合には、創意工夫により大きくコストを削減することができます。例えば、新提案により安全性は95%になるけれど、コストは半分になりますというような場合には、その地域の判断により、道路構造令からのdeviationではあるけれど、コスト半分の提案を採用するという余地を残すためです。
 


 以上、入札改革についての具体案を提示、解説してきました。勿論、これらの提案に対する更なる疑問、反論があろうかと思います。たとえば、このような大掛かりで複雑なプロジェクトの入札に応札できる地場企業があるのか? 結局は東京在の大手Geneconしか応札できなくなるのではないか? 大規模な事業を発注したのはいいが、受注者がプロジェクトを遂行できなくなった場合の対応はどうするのか? 入札を評価する人材や仕組み自体が整っていないのではないか? 等等、心配や疑問は数限りなく出てくると思います。 何よりも凄まじい反論、抵抗は、国土交通省とそこに連なる族議員、ファミリー企業、各地の政商的Geneconから出てくると思われます。何故なら、国土交通省利権、政商的Genecon利権に真っ向から挑戦する入札改革の提案だからです。技術内容、入札のやり方・決め方、資金手当て、全て国土交通省や族議員で仕切りたい、この巨大利権を何としても死守したいという、利権集団に正面から挑みかかる提案だからです。そのような利権集団(Tax eater=税金を食べる人達)からの反論に対しても屈することなく、逃げることなく立ち向かっていきたいと思っています。
本提案に賛成の方、(利権とは関係ない立場で)反論のある方、みなさんのご意見を頂戴しながら、更に完成度の高い入札改革提案にしていきたいと思っていますので、忌憚のないご意見をお待ちしております。
 
 最後に、海外における多くのインフラ・プロジェクトは、国民(Tax payer=税金を払う人)の負担を少しでも軽くするために、実際にこのような形で実施されています。日本でも時間や労力はかかりますが、できないことはありません。「税金の無駄遣いは断固許さない!税金の投入額をできるだけ少なくして、必要なインフラ整備を実現する!」という覚悟と勇気があれば、できないことはありません。これだけ、借金が積み上がった国(と各地域)で、真に必要なインフラの整備事業を実施していくのです。あらゆる知恵と工夫を凝らし、出来得る限りのコスト削減をしながら、必要なインフラ整備を進めていかなければなりません。これが私たちの宿命です。


勇気と覚悟を持って、明日に向かって一緒に歩き始めようではありませんか!


−吉良州司−

 

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