活動報告
メルマガ(2008年2月1日発行)「道路特定財源について」 2008年2月4日
みなさん こんにちは。
吉良州司です。
さて、現通常国会の最大の課題になっております、道路特定財源の問題について、私の所見をみなさんにお伝えします。真意をご理解戴くためには、かなりの説明量が必要です。
道路特定財源問題は、単に「ガソリンが25円下がる」という問題ではなく、55年体制時代の官僚主導中央集権の国を続けるのか、私の持論でもあります、新時代の日本の姿であるべき「地域主権」「生活者主権」の国を創っていくのか、という「国の形」「国のあり方」を問う問題だと認識しています。
<道路特定財源の概要>
まず、釈迦に説法かもしれませんが、簡単に本制度について解説させて戴きます。
- 道路特定財源制度の歴史と現状
(1)本制度は元々昭和29年(1954年)に「揮発油税」として創設されました。当時は、戦後復興の真っ只中で、「経済的に豊かにな りたい」ということが国民の総意でした。その戦後復興を早期に実現させるために政府は、石炭、鉄鋼などの基幹産業に国の経営 資源を傾斜配分するという政策をとりました。この産業振興を目的として、インフラ整備、特に道路整備の促進を期して成立せしめ たのが本制度「道路整備緊急措置法」(左記の法の制定は1958年だが、同趣旨制度は1954年から継続。1958年に「道路整備特 別会計)も創設)です。当時の状況を考えると極めて正しい判断であったと思っています。法律の正式名称は「道路整備緊急措置 法」と、『緊急措置』となっておりますが、既に54年間継続されており、議論の際には、この元々の税率部分のことを「本則分」とい う言い方をしています。
(2)この後、昭和49年(1974年)には、第二次石油ショックの影響によるガソリン高騰の中で、価格引き上げによる使用量抑止効果 の狙いも含めて、本則分に上乗せする税として「暫定税率」が課せられました。この「『暫定』税率」も既に34年間続いています。一般的に使われている「ガソリン税」は、「揮発油税」と「地方道路税」とを合わせた通称で、今回の主な議論対象となっているのは揮発油税の暫定分24.3円/Lと地方道路税のそれ0.8円/Lです。
(3)道路特定財源の税収
道路特定財源の諸税は、自動車の取得、保有、利用(走行)の各段階でかけられており、
道路特定財源全体で5.6兆円、その内、本則分がざっと3兆円、暫定分が2.6兆円です。
尚、道路特定財源の詳細については、ウィキペディアの解説をご参照下さい。
<与党の主張、野党の主張>
1.与党の主張
ご承知の通り、与党は本年3月末に期限が切れる暫定分を10年間延長し、国土交通省による道路整備中期計画に基づき、2008年度からの10年間で59兆円を道路整備に投じることを主張しています。
延長の必要性について、地方ではまだまだ生活や緊急医療のための道路整備が充実しておらず、都市部も開かずの踏み切りや渋滞対策などで不便を強いられており、都市部、地方ともに更なる道路整備が必要。これに加え、通学路の安全性確保やバリアフリー対策も必要。更には、原油価格高騰への対応、及び環境保護対策として、価格を高めに誘導してエネルギー資源の節約を促す必要がある。また、国際的にみても日本のガソリンは安い方であり、財源難の折から、将来の温暖化対策としても暫定税率を維持すべき必要性を訴えています。
2.民主党の主張
一方、民主党は「民主党政権を前提として」次のような基本方針を打ち出しています。
1) 道路特定財源の暫定税率部分の即時廃止
⇒これにより、ガソリン・灯油等の値下げを促す。
2) 道路特定財源の本則部分の一般財源化
3) 地方の減収分に対する実質的補填
⇒国直轄事業の地方負担分の廃止により実質的な減収分なしとする。
4) 一般財源化した(本則部分)道路特定財源相当分を地方へ一括交付
⇒一括交付金として交付することで、使い道は地方自治体の自由裁量に任せる。自治体の裁量により、
上記(地方の)自主財源を道路に使おうが、福祉や教育に使おうが、その使途は自由。
※これにより生じる国の減収分は、そもそも安倍政権下で決定され、一般財源化されていた6000億円に加え、
官製談合や随意契約などの不透明な契約形態を排除すること等による無駄の排除で実質的な埋め合わせ可能
<吉良州司の主張>
(1)民主党の主張は原則的には正しい
民主党の方針は、全体論、一般論としては時代の趨勢に沿っていて正しいと判断しています。特に、これまでの国の形であった「官僚主導中央集権国家」を「地域主権の国」「生活者主権の国」にしていく時代の要請に従えば、国土交通省が、どこに、いくらで、いつまでに道路を造ると決める権限を死守し続ける、官僚主権、中央集権構造の象徴でもある「道路特定財源」を、各々の地域が使途の限定なく自由に使える財源に切り替えようとすること、また、苦しい生活状況の中、ガソリン価格を少しでも引き下げようとすることは「生活者を第一に考える」民主党の哲学に則る方針です。
この問題が、単に「ガソリンを25円下げる」という問題にとどまらず、55年体制時代の官僚主導中央集権の国を続けるのか、新時代の日本の姿であるべき「地域主権」「生活者主権」の国を創っていくのか、という「国の形」「国のあり方」を問う問題だということです。
(2)大分県のような道路後進県への配慮が必要
しかし、一方、先述のように平均的な都道府県のインフラ整備状況と比べて基幹道路整備が大きく遅れている私の地元大分県のような地方に対しては、これまで立ち遅れてきた分を取り戻すべく、民主党方針でいえば一括交付される交付金(上記4番)を、基幹道路後進県へ集中投資、傾斜配分すべきであると強く主張しています。
(3)地域主権時代に備えた国創り
このことは、自分の選挙区への利益誘導といった前時代的な次元の話ではなく、近い将来に実現しなければならない「地域主権」時代に対して全国的に備える意味合いなのです。つまり、来る「地域主権時代」は、各々の地域が自立し、道路を含めたインフラ整備、教育、福祉などの生活に密着した行政ニーズ実現の優先順位を、自らの財源と責任において判断し、実行していく時代です。もう国に頼ることはできなくなります。
今回の民主党案は、道路特定財源の本則分を地方に一括交付するものであり、教育に使おうが、福祉に使おうが、道路に使おうが、それは地方の自主判断です。しかし、大分県のように基幹道路後進県は、その一括交付金をまずは基幹道路などのインフラ整備に集中投資しなければならず、インフラ整備先進県に比べて、教育や福祉に回す財源が不足してしまいます。
例えれば、これから「地域主権時代の地域間競争100m走」を始める時に、最初から30m前からスタートする地域もあれば、大分県や宮崎県のようにスタート地点のはるか数十m後ろからスタートしなければならない地域があります。これでは公平な勝負になりません。せめて、どんなに遅れた地域でもスタート地点には立てるという全国的な見地からの配慮が必要だと主張しているわけです。
以上、縷々説明してきましたが、私の主張は、暫定税率の廃止、本則分は、一般財源化した上で、基幹道路後進県に対して(遅れた分を取戻させる意味での、真に必要な道路の整備ができるように)傾斜配分とするという原則を打ち立てるべきだというものです。尚、真に必要な道路は、国土交通省と政治家の関与を排除した機関で調査、議論、決定する仕組みを作るべきだと思っています。
これを数字的に表すと、暫定税率分約2.6兆円は廃止して、ガソリン価格25円の低下に繋げる。本則分約3兆円は一般財源化する。そして、自由に使える一括交付金として各地域に配分する。その際、大分県、宮崎県、島根県、和歌山県のような高速道路を含む基幹道路整備後進県13県には、3兆円の内、たとえば1兆円を傾斜配分することにより、遅れた分の整備に使い易いようにする、残りの2兆円を、「真に必要な道路整備原則」に則りながら、全国に配分するという正論としての仕組みを提案しているわけです。
この主張は、与党議員が地元に道路予算を持ち帰ることを最大の使命とする現政権下にあっては現実性があるとは思えません。何故なら、自分の地元への道路予算は少なくていいから、基幹道路整備後進県の大分や宮崎に優先投資してくれなどという合意形成が利権集団である与党内では極めて難しいと思うからです。
国のあり方そのものを改革しようとしている民主党においては、予算配分権限を持っていない今だからこそ合意形成が可能だと思っていますので、正論を主張し、党の方針とすべく全力を傾注したいと思っています。
−吉良州司−