活動報告

前のページへ

メルマガ92号(2007年9月26日発行)「テロ特措法:アフガニスタンを取り巻く状況」 2007年9月26日



みなさんこんにちは、吉良州司です。


自民党の総裁選挙に伴う長らくの休眠状態から、ようやく臨時国会が再開されました。参議院では、民主党小沢代表が首班指名を受けたことはご存じの通りでしょうが、今国会のネジレを象徴する出来事でした。

今号では、臨時国会での最大の争点の1つであるテロ特措法の延長問題に関連して、論点の整理という意味で、「アフガニスタンを取り巻く状況」や「民主党の立場」などについてお知らせしたいと思います。



【アフガニスタンでのテロとの戦い流れ】
  2001年9月11日  ニューヨーク等米国内で同時多発テロ発生
             アルカイダによる犯行と断定
  2001年10月7日  アフガニスタン侵攻・不朽の自由作戦(OEF)開始
             (アルカイダを庇護するタリバン政権を攻撃)
              ⇒12月7日にはタリバン最後の拠点カンダハル陥落・実質的に戦争終結
  2001年11月    海上阻止活動(OEF-MIO)開始
  2001年11月2日  テロ特措法成立(2年間の時限立法として)
  2001年11月9日  海上自衛隊補給艦、護衛艦をインド洋派遣
  2001年12月20日 国際治安支援部隊(ISAF)設立(ボン合意・国連決議1386)
  2001年12月22日 カルザイ暫定政権成立


 ※OEF・・・Operation Enduring Freedom−不朽の自由作戦
 ※OEF-MIO・・・Operation Enduring Freedom-Maritime Interdiction Operation-海上阻止活動
 ※ISAF・・・International Security Assistance Force−国際治安支援部隊



【詳細】
アメリカ政府は、2001年9月11日の米国同時多発テロを国際テロ組織アルカイダによる犯行であると断定しました。翌日には国連は「9.11」攻撃への非難と、攻撃に対してアメリカに自衛権がある(=行使できる)ことを確認した国連安保理決議1368を採択しました。その後、アメリカはアルカイダのメンバーの引渡しをアフガニスタンのタリバン政権に要求しましたが、拒否されたことにより、10月7日にアメリカと同盟国イギリスが、国連でも容認された個別的自衛権に基づいて攻撃を開始しました。現在でもテロとの闘いとして、米英をはじめ20カ国以上が地上部隊を不朽の自由作戦(OEF)に派遣しています。



日本の海上自衛隊が参加している海上阻止活動(OEF-MIO)は、2001年11月に、OEFの一環として開始され、海上におけるテロリスト、麻薬、武器、資金などの移動を阻止するため、不審船の無線照会、乗船検査等を行なっています。海上自衛隊は、このOEF-MIOに参加する各国の艦船、艦載ヘリ等に対して燃料や水の補給の後方支援を行なっています。


戦争が実質的に終結した後、国際社会はアフガニスタンの戦後復興等について話し合うため、ボンで和平会議が開催しました。会議では、カルザイ氏を首班とする暫定政権を成立させることや、多国籍軍とともに治安支援を行なう国際治安支援部隊(ISAF)を設立することなどを合意されました。ISAFは、ボン合意に基づいた国連安保理決議1386の採択によって正式に国連のミッションとなり、これによって、国連の全ての加盟国に対して、「必要な措置を取るよう」に呼びかけられました。



【国連安保理決議と民主党小沢代表の主張(反対理由)】
前述のように、アフガニスタン侵攻以前に、国連は安保理決議1368で、アメリカには9.11同時多発テロ攻撃に対して自国を防衛するための個別的自衛権があることを確認しています。アフガニスタン侵攻は、このアメリカの個別的自衛権に基づいて行なわれた戦争であり、同時に侵攻したイギリスはアメリカとの安全保障条約に基づいて参戦をしています。日本も、アフガニスタン侵攻直後に小泉総理(当時)は、日本はアメリカの攻撃を「支持する」と発言し、海上阻止活動に海上自衛隊艦船を派遣しました。

民主党小沢代表は、アメリカのアフガニスタン侵攻(=OEF不朽の自由作戦)は、国連の安保理決議に基づいて行われているものではなく、国連の安保理決議1368で「認知」はされているものの「授権」されたものではないため、日本がOEF-MIOに参加すれば憲法で禁止されている集団的自衛権の発動にあたり、違憲であると主張しています。この違憲な状態を生み出すテロ特措法は無効なものであって、当然ながらその延長は認められないという考えです。



また、先日9月20日に、国連で新たな安保理決議1776(賛成14、棄権1→ロシア)が採択されたことが話題となりましたが、主な内容はISAFの活動期間の延長についてのものであり、日本政府が働きかけて前文に「謝意」が盛り込まれました。原文(英語)には「JAPAN」は一度も登場せず、「安保理はISAFや『不朽の自由』(参加)各国の貢献に謝意を表明する」と記されました。アメリカのハリルザド国連大使は採択後、この謝意が特に日本に対して向けられたものであるとして活動の継続を促す発言し、ロシアのチュルキン国連大使は今回の決議が安保理の一員でもない特定国の内政事情を優先したものだと批判しました。日本政府が働きかけて、いくら「謝意」が盛り込まれたといっても、OEFの活動が明確に国連によって「オーソライズ(公認)」されたものになったわけではありません。これをもってテロ特措法の賛成に転じるというわけにはいかないという立場です。


--------------------------------------------------------------------------------------------------
以上、これまでのアフガニスタンを取り巻く経緯などについて概略をお伝えしました。アフガニスタンの混乱の一方で始まったイラク戦争との関係など、国際関係は複雑にうごめいていますが、今回の延長問題の根本の問題を指摘する小沢代表の姿勢は変化することはありません。テロとの戦いという大義名分や米国との関係を重視する国益の観点からの議論もありますが、今後しばらくの国政の最重要課題であるこの問題について、ぜひ皆さんも一度考えを巡らせていただければと思います。また、私自身の個人的な見解については、政治的に微妙な問題がありますので、内容、タイミングを考えながらもう少し時をおいてからお伝えしたいと思います。

尚、先日党の外務防衛部門会議で招待をした一橋大学中満泉教授の講演は、この問題を考える時、国益を考える上でも非常に示唆に富んだものでしたので、ご紹介させていただきます。



  講演要旨はこちら




−吉良州司−

 

ページトップ


現在の表示について

本サイトは、WEB標準技術に準拠していない一部のブラウザではレイアウト機能が無効となります。

情報の閲覧には支障ありませんが、レイアウト機能を有効にされたい場合には、下記の最新ブラウザをご利用ください。