活動報告

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2006年11月4日(同日発行メルマガ)「ブラジルレポートより その3


みなさん こんにちは
吉良州司です。


前号に続き、1985年、今から22年前に書いたブラジル・レポート『大統領選挙で思ったこと その3(完結編)』をお届けします。


尚、度々お知らせしております、拙著『選挙革命』「われらかく闘えり」が、売れ行き好調につき、この度、重版されることになりました。みなさま方のご支援の賜物に他なりません。改めて、お礼申し上げます。


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『大統領選挙で思ったこと』
22年前の平松知事(当時)へのレポート(吉良州司 当時26歳)


その3
「(3)新大統領の演説と人々の反応(経済的ジレンマ)」


 ブラジルの人々は、底抜けに明るく楽天的ですが、時々、その過度の楽天的傾向、お人よしには驚かされることがあります。今回の選挙後、新大統領が演説をして、「インフレの沈静化、国民の生活条件の改善、失業の追放」などの経済的目標を国民に訴えましたが、人々は、「タンクレードがああ言ったから、これで暫くインフレも収まるし、生活が良くなる」と信じ込んでいる様子なのです。(少し大袈裟に言いますと、 タンクレードの出現は、庶民にとっては、救世主の出現と思われている節もあります)本当に上記の経済的目標が、一気に解決できれば申し分ないのですが、各々の課題が相互にジレンマ状況を形成しており、前途は多難であると言えます。


 今、ブラジルが早急に解決しなければならない経済的課題は、以下の3点です。
(1)インフレの沈静化→通貨価値の安定、需要と供給のバランス
(2)外貨の獲得(債務返済)→輸出増進と輸入の制限
(3)失業率の低下→景気の刺激(財政・金融両面)

 上記の課題の中(2)と(3)だけは、(輸入の制限・輸出産業における投資減税、輸出補助金等の諸政策)同時進行可能な政策を選択できますが、(1)と(2)、(1)と(3)などは、ジレンマ関係にあり、同時進行的な政策を選択するのは容易なことではありません。


 日本が低成長へ移行後、いち早く、スタグフレーションから脱し、物価の安定、景気の維持、低失業率を確保できてきたのは、インフレか失業かという二者択一状況の中で、終身雇用制という特殊な制度がある為、インフレ抑制政策を優先することが可能だったからではないでしょうか。(勿論、失業対策を無視しているわけでは決してなく、その対策(景気刺激)の結果は、莫大な財政赤字と、企業の外需依存体質=貿易黒字額の累積=貿易摩擦問題という付けとして顕在化してきてはいますが)


 しかし、ブラジル社会では、たとえ好況時においても転職、解雇は日常茶飯事であり、余程のインセンティブ(たとえば高賃金)を与えないことには雇用の安定を確保するのは難しいと思います。となれば、景気刺激策(低金利政策による設備投資の拡大・財政支出の拡大・減税)により、雇用機会の拡大を図り、且つ賃金の上昇をインセンティブとすることが、失業対策の要でなければなりません。しかし、低金利政策、減税・賃金上昇などの諸策は、景気拡大による供給の増加という要素を除けば、通貨供給量を増加させてしまい、インフレ沈静には、全く成果です。一方、インフレ沈静を主眼とすれば、当然、通貨価値の安定策を考えねばならず、金融・財政両面においての引き締めが必要となり、失業対策に逆効果です。


 また、巨額の累積債務返済の為には、輸出振興政策(兼、輸入抑制)を執らざるを得ず、技術面やファイナンス面において比較優位にない以上、平価切り下げによる外貨建価格の競争力強化という手段に訴える他はありません。平価切り下げは、通貨価値の下落を意味しますから、インフレが継続するのは当然のことです。


 このように、解決すべき課題の有効政策は、相互にジレンマ状況を形成しているのです。その上、すべてが規模の大きな(累積債務1000億ドル、年間インフレ率300%、失業率40%)国ですから、冬のアンデス山脈を縦断するくらい解決までの道のりは険しいと言えるでしょう。


 孰れにしても、一石三鳥、四鳥という旨い話は、ころがっていませんから、優先順位を明確にし、その解決策について、国民、債権国(者)双方のコンセンサスを得ることが大切だと思います。ブラジルの可能性については、5年や10年といった短期的視野で考えてはならず、30年、50年の単位で考えていかなければならないと思います。当に、21世紀の国だと言えるでしょう。


以上


 長いレポートにお付き合いいただきありがとうございます。今から22年前、26歳当時のブラジルからのレポート故、現在の視点だけで読むと違和感がある部分もあるかと思いますので、時空を22年前のブラジルに戻して、読んで戴ければありがたく。
 
  ご意見ご感想をお待ちしています。


−−吉良州司−−

 

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