活動報告

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「中央アジア視察その6 キルギス編_vol.3」メルマガ59号 2005年12月5日

みなさん こんにちは!吉良州司です。
今日は中央アジア視察の第6回目の報告、キルギス編の3回目です。今回は公式訪問 の会談内容を中心に報告します。

バキーエフ キルギス大統領とのツーショット

キルギスでは、政府首脳としてバキーエフ大統領、クロフ首相、ジェクシェンクロフ 外相と、議会関係者として、テケバエフ議会議長などと公式会談しました。また、 目線を変えるという意味では、米国のイオヴァノヴィッチ駐キルギス大使(米国大使館 にて)とも有意義な面談ができました。

 

これらの会談で共通の話題になったのは、下記のような内容です。

  • 日本の経済援助(空港改修、道路改修等)に対する深い感謝(キルギス側=キ側)
  • 日本の対中央アジア外交の柱である「中央アジア+日本」の評価と重要性の強調(双方)
  • 3月政変(アカエフ元大統領の失脚・亡命とその後7月には正式にバキーエフ大統領政権誕生)の評価と更なる民主化、市場経済化に対する期待(双方)
  • キルギスの外交方針についての確認(日本側)
  • テロ対策を含む国内の治安対策の確認(日本側)
  • 日本の更なる経済援助及び今後は日本企業による投資を期待(キ側)

 

上記の内、特筆すべき点が3点あります。

 

1.3月政変の評価と現政権の課題
 まず、3月政変は無血革命である点、前政権を倒した後、世界が注目する中で民主的  な大統領選挙が行われた点は高く評価されます。そもそも、アカエフ前政権が倒さ  れた最大の原因は、汚職と貧困です。アカエフ前大統領はソ連末期の1990年から  キルギスのトップに君臨し続けており、「長期政権は必ず腐敗する」ということを  具現したように汚職が蔓延する政権だったようです。従って、バキーエフ新政権の  最大の課題は汚職対策と貧困対策です。このことは本人は勿論、面談した全政府  首脳が断言していました。

 

2.キルギスの外交、安全保障について
 キルギスはアフガニスタン戦争開始後、首都ビシュケクのマナス空港を米軍に使用  させています。一方、ロシア空軍の同空港から30km離れたカント基地使用も認めて  います。また、国境を接する中国との合同軍事演習を実施してもいます。この世界  の3大軍事大国を手玉に取るような堂々たる外交・安全保障政策を実践しているわけ  です。おまけに、過去最大の経済援助国が日本、直近の単年度援助No.1は米国、  2位ドイツ、3位スイスというわけですから、中々したたかです。このことにつき、  私から、米国とロシア、日本と中国は利害が対立することが多いが、これらの国々  の利害が対立した場合の、キルギスの対応の一番の判断材料は何か訊いたところ、  「大国の利害がキルギス国内で、キルギスに関連して対立しないような舵取りこそが  重要。キルギスは資源もない小国であり、大きな野心は持っていないが、国際平和に  欠かすことのできない一部となることを目指している。小国が生きていく為には  あらゆる努力を惜しまない」との回答でした。これには頭の下がる思いがしました。

 

*恐らく日本の明治初中期は現在のキルギス同様、「小国・日本」が欧米列強の餌食に  ならずに生き延びるにはどうしたらよいか、必死にもだえ苦しみ、その中から当事  の世界最強の英国との日英同盟を始め、小国であるが故のしたたかな外交を綱渡り  の曲芸を演じるように展開してきたわけですが、日露戦争を「勝利?」と勘違い  したところから、維新の志士達を中心にガラス細工を創作するような繊細さで築き  上げてきた明治国家が滅亡へと向かい始めたことが残念でなりません。*

 

3.情報源を多様化することの必要性
 商社時代は、ある情報をあるルートから入手しても、その情報内容が事実であるか  どうか「裏を取れ!」という商社用語で、他の複数の筋からも情報を入手すること  により、真偽の確認をやっておりました。最近はその感覚を少し忘れかけていた  ところ、駐キルギス米国大使と面談したことで、久しぶりに「裏取り」の必要性  を再認識しました。というのは、大統領や首相から「投資法制、税制も整っている  から是非日本企業の積極的な投資を薦めてほしい」との要請があり、正直言って、  法制、税制が整備されているんなら、投資しても面白いと当初思いましたが、  米国大使は「この国は、法があっても、法の支配がない。賄賂がはびこり、司法が  独立して機能していないから、法が正当に運用されない。とても投資できる環境に  ない」と嘆いていました。
 また、私も日本外務省からの情報やキルギス政府首脳からの話を聞いて、キルギス  は米国、ロシア、中国といった大国の影響力が均衡していると思っていましたが、  米国大使によると、「均衡状態なんてとんでもない。ソ連時代の影響もあり、  今現在でもロシアの影響力が90%だ」と断言しておりました。

 

この米国大使の発言も、キルギスはじめ、中央アジア諸国の地政学的重要性に鑑み、 恐らくは、米軍のキルギス駐留を正当化する為、また、より多くの日本からの援助 を引き出す為の、意図的なものかもしれません。ビジネス交渉のように、数字や 客観的データを突きつければ、反論のしようがない世界と違い、ある意味では プロパガンダ合戦、いかに情報操作・広報をやっていくか、の世界が外交なのかも しれません。

 

(以上、次回に続きます。)

バキーエフ大統領との会談の席。中央がバキーエフ大統領。
 
バキーエフ大統領と視察団一行の集合写真。バックは遊牧民族国家らしく、馬が走る様子の絵画。
 
バキーエフ大統領と視察団との会談
 
イオヴォノヴィッチ駐キルギス米国大使との会談の様子
 
イオヴォノヴィッチ駐キルギス米国大使との会談後の記念撮影

 

−吉良州司−

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