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130「政権交代によって何が変わるのか その2」  2009年07月27日


みなさん こんにちは!
吉良州司です。

前号は、「政権交代によって何が変わるのか その1」と題して
業界主権、中央集権、官僚内閣制の国の仕組みが各々、生活者主権、
地域主権、国会内閣制に変わる、ということを説明しました。
本号では、その第2弾としまして、外交・安全保障政策の継続性と
政権交代による相違点についてお伝えしたいと思います。一部にマスコミ等
の報道とは異なる踏み込んだ説明をしているため、やや長めの文章と
なってしまいました。最後までお付き合いいただければ幸いです。

(1)     民主党の外交・安全保障に対する偏見を正す
―-政権交代後も日米同盟、日米関係は堅持する――

自公政権は、どんなことをしても自らの政権を維持したいのでしょう、
民主党をおとしめるために、執拗に「民主党の政権担当能力に問題あり」
として、特に民主党の「外交・安全保障政策」と「財源論」について
攻撃をしかけてきます。

冷戦構造の下、「米国と連携し自由主義経済を志向する」自民党と、
ソ連・中国に親近感を持ち、社会主義経済を志向する社会党、共産党
などが、激しく対立する、いわば「冷戦構造を国内に持ち込んだ体制」が
「55年体制」といわれる日本の政治でした。その中で、自民党政権は、
「西側世界に身を置き、米国との同盟を堅持する」ことで日本の
安全保障を維持してきました。

しかし、「1989年のベルリンの壁の崩壊」、「1991年のソ連崩壊」、
更には、1990年代に加速される「中国の改革開放経済政策(中国の
資本主義経済化)」によって、冷戦構造が終焉してグローバル経済が
進展する過程で、日本の55年体制も過去のものになります。
その結果が1993年の自民党分裂と細川政権の成立です。実は、
それ以降の新進党、自由党、旧民主党などを経て現在の民主党に至る
新しい政党は、いずれも55年体制の価値基準でいえば、「西側世界に
身を置き、米国との同盟を堅持」し、「自由主義経済を志向する」政党です。
その意味では国の存立にかかわる外交安全保障上の理念・体制は
政権交代後の民主党政権でも継続されることになります。

しかし、55年体制時代の自民党支持者の中にはいまだに、非自民、
反自民といえば、「左翼」「中国・ロシア志向、社会主義経済志向」
だと思い込んでしまう方々が大勢いらっしゃいます。自民党から
離反する健全な保守層が激増する昨今、55年体制時代の思い込みを
続けている方々を自民党支持に繋ぎ止めようと、自公政権は必死に
なって根も葉もない民主党攻撃をしているのです。
具体的には、反自民である民主党を、「左翼の影響が強い反対野党」
「社会主義志向や反米志向が強い、とても日本の外交・安全保障を
任せられない政党」というレッテルを貼ろうと必死に攻撃をしています。

しかし、「日米関係、日米同盟の堅持と自由主義経済体制の維持は
民主党の外交・安全保障政策の基軸」であるということを、まずご理解
戴きたいと思います。政権党と政権を担わんとする政党との間に、
外交安全保障の基本政策上、大きな差異があってはならないのです。

(2) 「民主党=反対野党」のレッテル貼りに必死の自公政権

自公政権が必死になって、民主党を、「とても日本の外交・安全保障を
任せられない政党」というレッテルを貼ろうとしている具体例を2つと、
それに対する反論を下記します。

1 貨物検査法案が廃案になった理由「民主党主犯説」についての反論

貨物検査法案について、「民主党が反対したので廃案になった」と
自公政権は主張しますが、まず、本当に成立させたければ、解散など
せずに、何としても成立させる道を模索すべきだったでしょう。
それをせずに解散に踏み切ったのは、貨物検査法案の廃案を
「民主党犯罪説」として選挙に利用するためです。

国連安保理による対北朝鮮制裁決議の実効性を確保するための
国内法制定は、3年前から民主党の長島昭久議員が主張し続けたことです。
3年前のミサイル連射・核実験に対する安保理決議1718の際に、
「国連を舞台に日本が主導して決議をとるのはいいが、その決議を
履行するための肝心の国内法がないではないか」と当時の安倍首相・
麻生外相に詰め寄ったのは民主党の長島議員です。
しかし、政府は今日まで3年も放置してきました。北の挑発行為が
続けば早晩さらに強い拘束力をもった国連決議が出ることは当然予測
されていたにもかからず、何もしなかったのが安倍・福田政権でした。
今回の法制化にしても、国内法の整備を最初に提起したのは長島議員です。
あわてて自民党が追随し、政府がようやく重い腰を上げたのはごく
最近のことなのです。幸い海上保安庁主体の法案でもあり、
民主党は賛成で党内根回しを終えて、いよいよ特別委員会での審議が
佳境に入ろうとしたところで、麻生首相が解散してしまったのです。
これには民主党も内閣不信任案で対抗せざるを得ず、この大事な法案は
廃案に追い込まれることになりました。
したがって、この法案を3年も先送りし、しかも今回廃案に追い込んだ
責任は自民党(安倍・福田・麻生)政権にあります。選挙のために
「廃案=民主党犯罪説」を流布したいがための戦術なのです。
民主党は、政権を取ったら、ただちに同旨の法案を提出し、自公両党の
賛成を得て、速やかに成立させることになると思います。

2 ソマリア沖海賊対処法案への民主党対応

ソマリア沖の海賊対処法についても、民主党は「基本は海上保安庁(海保)
で対処、海保で対処できない場合は海上自衛隊(海自)の出動」という
同法案の趣旨には賛成でした。ただ、シビリアンコントロールを徹底
するため、「国会の事前承認」を賛成条件にしたのです。
「国会事前承認条件」で民主党が賛成するなら、この条件を呑んで、
国会の圧倒的多数で成立させることに前向きな与党議員も数多くいました。
しかし、民主党を旧来型の反対野党、自衛隊派遣にアレルギーのある政党
というレッテルを貼るために、敢えてハードルを高くして
「国会事前承認条件」を拒否し、民主党反対を引き出そうとしたのです。

以上2点に関して、自公の喧伝・戦術を真に受けた、偏った報道が
なされたことは残念ですが、このように民主党は、反対しているだけの
野党ではないのです。政権を担ったならば、現実を見据えた外交を
展開していきます。

(3)相違点 ―価値観の違う国とも共存共栄を追及する自主自立外交―

上述しましたように、「日米同盟の堅持、自由主義経済体制の継続」は
政権交代後も当然の基本政策です。ただ、現自公政権は米国とさえ
仲良くしていれば、日本の安全と繁栄が保障されると勘違いしています。
冷戦構造下でこそ通用した考え方です。
しかし、イラク戦争が誤りだったということは、当時の米国政権中枢に
いた人達の間でも通説になりつつあります。米国の判断が常に正しいとは
限らないのです。
また、世界的金融・経済危機の震源地である米国の経済力が低下しつつ
あります。これは日米同盟の履行における経済的リスク要因です。更には、
オバマ政権誕生でも分かる通り、米国は民主主義の国ですから、現在とは
異なる価値観を持った大統領や議会の多数党が誕生すれば、日米同盟の
あり方も現在のそれとは異なったものになる可能性もあります。

中国やインドの台頭、ロシアの復権、アラブ世界や中南米における
米国への反発など、冷戦終結後の米国一極支配体制が大きく変貌し、
世界の多極化が進展しつつある今日、「米国についていけば日本は安全」
という旧来型の安全保障観を見直す必要があると思っています。
その見直しの回答は「日米同盟は堅持しつつ、一方では自分の国は自分で
守る」という独立国としては当たり前の防衛の原点に立ち返ること
だと思います。
また、「自由と繁栄の弧」という概念で実質的な「中国囲い込み政策」を
持ち出すような時代でもありません。防衛大学校の五百旗頭真校長の
言葉をお借りすれば、「日米同盟、日中協商」、つまり、「政治的、
軍事的には堅固な日米関係を維持しながら、中国(やインドなど
他のアジア諸国)とも経済的な共存共栄を図る」ことが重要な時代
なのではないでしょうか。経済的には間違いなく中国を中心とするアジアが
「世界の成長センター」になります。「米国は大事にしながらも、
米国一辺倒から、価値観の違う国も含めたアジアも重視していく外交
(鳩山友愛外交)」が求められている時代だと思います。
民主党はこの時代認識を持ちながら、現実的な外交・安全保障政策を
構築し、実行していきます。

最後まで読んで戴き感謝申し上げます。次号では民主党が掲げる重要政策に
ついて、お伝えしたいと思います。

-吉良州司-


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