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国会発言録

No.010 164回国会「衆議院 外務委員会 6号」  2006年03月24日


③平成18年3月24日 外務委員会
○原田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。吉良州司君。

○吉良委員 おはようございます。民主党の吉良州司でございます。
 きょうは何やら、私のために皆さんお忙しい中を集まっていただいたようでございまして、本当にありがとうございます。気合いを入れて質問をしなければいけないと思っておりますので、やらせていただきます。
 きょうは、議題となっております二協定につきまして、まず最初に、この二協定が結ばれるに当たって、政府の広い意味でのFTAまたEPAの主体的な戦略構想というのですか、そういうものをお聞きしたいと思っておるわけです。
 それをお聞きするに当たって、これはもう経済産業省さんの方が非常にいい資料をつくってくれておりましたので、そこから抜粋して、皆さんのお手元にもお配りしていると思うんですけれども、一枚目が、これは、我が国が今実際に取り組んでいる、または協定自体が締結された、経済連携の現在の取り組み状況。
 そして、二ページ目は、世界の主要な経済連携の動きということで、これを見てもおわかりのように、三極がそれぞれ、一方ではWTOという国際的な枠組みルールがありながら、地政学的にといいますか地域的に連携の深いところとの経済的な連携をますます深めているということが一目でわかります。
 その次には、我が国の周辺といいますか東アジア地域の経済連携にかかわる動き、特にASEANを主軸とした動きというものを資料として掲げさせてもらっております。
 あと、その次は、我が国は今中国と、一方では友好、連携を深めなければいけないという立場である、もう一方ではやはりライバルという位置づけの中で、中国が着々と周辺諸国との連携を深めているということがこれまた一目瞭然の資料でございます。
 そして、その次のページは、マレーシアが今どういう経済連携の動きをしているかということが示された資料でございます。
 まず最初に、麻生大臣にお伺いしたいと思います。
 我が国のFTA、EPA、この取り組みについては、一方では、中国だ、韓国だというところにおくれをとっているというような指摘がございます。一方、シンガポールは、ある意味では日本との利害関係がほとんどない国、やりやすかった。そして、メキシコについては、利害関係がなかったわけではないけれども、ある意味では双方の利益がかなり近いところがあって、やはり早期に締結し得た。
 私自身は、今回のマレーシアの協定というのは非常に高く評価をしております。その理由は二つありまして、一つは、マレーシアの内部に国民車といいますか国産車、国策としての国産車育成というものがありながら、後で細かいところは話をさせていただきますけれども、そこの障壁を取っ払おうという、それからまた、鉄鋼についても関税の引き下げ、撤廃ということになっている。一方、日本の方も、農産品だとか林産品ということで、これまた国内との調整をしながら、思い切って協定にこぎつけた。こういう意味で、利害関係がありながら何とか協定にこぎつけたという点が一点。
 それからもう一点は、実は、私の会社時代の大先輩が十年間マレーシアにいて、向こうで日系企業のまとめ役をやっているような方がいらっしゃるんですが、その方に今回の協定のいきさつ等を聞いたところ、外務省、それからそこに出向している通産省の方が非常に熱心に動き回って、現場のニーズを本当にことごとく聞いてくれて、かつ、加味した上での協定を結んでくれた、そういう意味で非常に高く評価しているものであります。
 そういう意味で、確実に将来のひな形になる、モデルになるような協定を今回結べたということについては評価をしておるんですが、一般的には、先ほど言いましたように、ライバル国に比べておくれをとっているのではないか、このような指摘があるわけですけれども、まず、その点について麻生大臣の御所見をお伺いしたいと思っております。

○麻生国務大臣 すごくいい指摘だと思いますが、まず数字から申し上げて、中国、韓国という二つの国を例に引きますと、締結したFTA、EPAじゃなくてFTAの数に関しましては、日本とほとんど大差はございません。韓国の場合がチリ、シンガポール、それから中国は香港、マカオ、チリ、ASEAN、これはすべて物だけであります。
 日本の場合は、シンガポール、メキシコ、マレーシア、署名済み、もう一つにはタイがありますけれども、タイはもう署名をするのが決まっていたんですけれども、向こうがどこかの国と同じように突如解散ということになったものですから、いきなりサインするその日が解散というんですから、これで急に延期になった。ほとんどそんなに変わっていないという実情で、いずれ四月に選挙が終わりますので、終わったら署名ということになろうと思っております。
 それから、韓国、中国の場合は、これはFTA、いわゆる物を先行するやり方にしておりますのに対して、日本の方は、サービスとか人とかいろいろなものを含めまして、EPAを先行させているという、先行とは言いませんけれども、EPAでできるところはEPAでいこうじゃないか。
 FTAというのは、先生御存じのように、基本的には、変な言い方をすれば二十世紀型で、国境はあるという前提で、その上でどうするか。それに対して、このEPAの場合は、もう国境をなくして、お互いさま、丸々でやろうというやり方ですので、少しやり方が違うと思っております。
 では日本は今後どうするのかという御指摘なんだと思いますが、これは、特にアジアの中において、中国と日本というのは両方で、今の経産省の資料でもいろいろ出ておりました。そのとおりだと思っておりますが、ただ、私どもとしては、そういった中にあって、今後、日本という国が中国と一緒に、アジアの国々がやはりこういったFTA、EPA等々によって生活水準、経済力が向上してくるというのは、結果として、回り回ってこっちのためにも中国のためにもなることだと思っておりますので、いい意味で競争していくのは、僕は大変いいことなんだと思っております。
 EPAに関しましても、私どもとしては、人とか物とかいうのは今まで余り考えたことのないところですし、日本の場合は、何となく島国のためもありまして、人との交流というのはなかなか今まであるようでなかったところだと思いますが、おかげさまで、韓国との場合は、多分ことしは五百万人ぐらいの交通量、人の行き来になると予想されます。日韓協定を結びましたときは一年間で一万人、今は、一年間が五百万ですから、一日で一万数千人という数になりましたので、大分変わってきていると思っております。中国もほぼ似たようなもので四百万人ぐらい。
 そういったことで、人の動きもすごく往来が激しくなってきておりますので、その意味では、サービスとかいわゆる知的財産権とか、そういったものが二十一世紀において非常に大きなものになろうと思っております。
 私どもとしては、この東アジア共同体の中で今いろいろ新しい試みをやろうといたしておりますけれども、少なくともこういった形で、EPAとかFTAというものは、ODAを含めましていい意味で日本の外交の手段となり得るものだと思っておりますので、こういったものを使わせていただいて、WTOのドーハという非常に大きな世界全体の枠組みの中にあってもバイの関係というのは非常に大事なものだと思っておりますので、これは督励をして、こういったものを積極的に、契約というかサイン、署名にこぎつけられるようにということで、今督励をさせつつ、いろいろ努力をさせていただいておるというのが現状でございます。

○吉良委員 最終的には回り回って我が国の国益になるということで積極的に進める、私も全く同感であります。その際に一つ、これはラウンド交渉とかとも同じだと思いますけれども、どうしても国内産業との摩擦が出てくる。その際に、もちろん言葉で言えば国内産業に配慮しながら進めていくという一般論になるんでしょうけれども、今まさにおっしゃられた海外経済協力といいますか、海外戦略という意味においては、ある意味では国内産業の摩擦を何とか抑えながら、より積極的に進めていくということになろうかと思うんです。
 麻生大臣の今の外務大臣としてのお立場、また、今首相候補の呼び声高いわけですけれども、次期候補のお一方として、今言った国内産業との調整と、このEPAといいますか、またはラウンド交渉、ラウンド交渉は経済産業マターかもしれないですけれども、外務大臣も当然所管されていると思いますので、その辺の一つの決意についてお伺いしたいと思っております。

○麻生国務大臣 今、吉良先生御指摘のように、外務省の場合は、特定の業界、産業、例えば、農水産、林業等々でいくと農林省ということになるでしょうし、その他の機械とかなんとかいうことになると経産省ということになるんだと思いますが、少なくとも外務省の場合はオール・ジャパンみたいなものでやっていかなくちゃいけませんので、間に入るところは正直言ってむちゃ難しいのが率直なところです。
 各役所等が抱えております業界との交渉を得た上での日本の中の各省との交渉をやらねばならぬことになりますので、アメリカの場合はUSTRみたいなものをつくってやっているんですが、そのUSTRも国内に帰ると今度は商務省とか農務省とかいうのと交渉して似たようなことをやっております。USTRみたいなものは、攻撃のときにはいいけれども、これはディフェンスのときにはなかなかうまく使えないというのは見てわかりますので、私どもとしては、その分は総理にやってもらいますよと。御自分で各省を集めて、上につくって、またもう一つというような屋上屋を重ねることのないように、総理御自身で経産省、農林省、我々外務省を調整して、最終的にこれでどうしても調整のつかないところはけんかしてもらわないとしようがないというシステムでこの数年やらせていただいておるんですけれども、それなりに結論は出させてきていただいているんだと思っております。
 特に、日本の場合は、農林省の話ばかりが出ますけれども、農林省も、これはすさまじい努力をこの数年間されたと思います。農村の人口が変わりつつあることもありますし、いろいろな形で評価が出てきております。日本は、多分農産物は二兆円ぐらい輸入しているんだと思いますが、昔は輸出なんというのはゼロでしたけれども、今は三千億円ぐらい輸出していると思います、ちょっと正確な数字は農林省の方が詳しいと思いますが。
 内容は、苫小牧のとろろ芋とか、それから私どものところ、福岡の「あまおう」というイチゴ、イチゴ一個四百円よ、ここは銀座じゃないぞと言ったぐらい、驚いたぐらい。それが売れる。正直言って、そういったえらく大きくて、甘くて、赤くて、おいしくてというような付加価値を物すごい高めた農産物を輸出し始めたものですから、少し感覚は、これはいわゆる守るばかりじゃなくて攻めの農業もできるんじゃないかとか、お米に関しましても、米が一番の問題なんですけれども、これはすしがえらくはやり始めたものですから、すしの飯はやはり日本製がうまいとか、しかも、日本の炊飯器で炊かないとうまくないとか、向こうもいろいろなことが言われるようになって、いろいろな形が現場、現場では随分起きてきておるというのが私ども直接やらせていただいているときの実感です。
 調整というのは確かに必要でありましょうけれども、私どもとしては、産業を守るというのではなくて、少なくとも日本としてどうしても大事に守っていかなきゃならぬ農業として、守らねばいかぬ農業の部分と、それをもっと攻めに使える部分等々もあわせて考えないと、ただただ一粒たりともいけないというだけのような形ではとても守り切れるものではないというのが、この数年間の実績、実感でもございます。
 したがいまして、今言われましたように、私どもとしては、構造改善というのが今農業の部分では随分進んでおりますので、いろいろWTOの中で瀬戸際のところに四月ぐらいが来ると思います。そういった中で、非常に苦しい立場ではありますけれども、国益全体を考えてやっていかなければならぬところだと思いますので頑張っておるというのが正直な実態でございます。

○吉良委員 私自身も、これは個人的な考え方ではありますけれども、隣に農業の専門家の篠原議員がいて、先日も民主党の直接支払いということについての法案を出させてもらって、説明をさせてもらったんですけれども、基本的には、できるだけ壁をなくして、生活者により多くの利便性を提供し、利益を提供し、国全体のパイをふやした上で、そのパイの中から後で産業に対する配慮をしていく。私は、この順序が今の日本にあっては必要なことなんだろうというふうに思っておりますので、ぜひその方向でお願いをしたいと思っております。
 実は、このEPA、最初にちょっとEPAの大どころについての話をさせてもらおうと思っているんですが、先ほどお配りした「中国の動向」という中には入っていないんですけれども、実は中国が、御承知かと思うんですけれども、最近ベネズエラ、ブラジルといった南米の資源国に対して積極的にアプローチをしている。
 御承知のとおり、南米は石油大国であるベネズエラ、ここが反米政権といいますか、アメリカと仲が悪いということもあり、今急速に中国とベネズエラが結びついている。
 また、ブラジルも、ルーラ大統領、去年お越しになりましたけれども、当初はかなり過激な政権として、海外債務を無視するというようなことを掲げて大統領になられた。今、また、ブラジルのルーラ大統領とといいますか、ルーラ・ブラジルと中国が接近をしているというようなことがあって、中国というのが積極的に、資源のある国で、ある意味で反米というような、どちらかというと中道左派政権として、中国との結びつきがより強くなっているという状況があります。
 ちょっと私がお聞きしたいのは、一方で、南米というのは日本にない資源を持っている、これは当然のことなんですが、日本が今後、経済安全保障という観点で、またエネルギーの安定確保という点で、南米諸国とのEPAを推進していかなければいけない、このように私は思っていて、これは喫緊の課題だと思っているんです。
 ところが一方で、資料の最後につけました記事をちょっと見ていただきたいんですけれども、これは、ボリビアにモラレスという、これもまたいわゆる左派政権が誕生しまして、このモラレスという大統領はベネズエラのチャベスとも非常に仲がいい。ボリビアというのは、近年、天然ガスが豊富に産出されていまして、そこからブラジルに天然ガスを輸出し、ブラジルの大都市はその天然ガスを使って発電している。こういうような状況なんですけれども、そのボリビア大統領が、天然ガス、もとの施設を国有化する、こういうようなことを公言して大統領に選ばれたというような背景がございます。
 私が聞きたいのは二点ありまして、一方的にしゃべっていますけれども、二点あります。
 中南米に対するEPAへの取り組みについて、どう政府として取り組まれているのか、また、今後取り組んでいくのかという点が一点です。
 それからもう一点は、今ボリビアのモラレス大統領ということで例示しましたけれども、EPAを結ばれたということで、よっしゃ、今後投資が自由になったといって、どんどん投資をしていきました。ところが、あるとき政権がかわって、おい、ちょっと待て、あのEPAやめたということになって、投資した実績だけが残ってしまうというような、いわゆる広義の意味でのカントリーリスク、ソブリンリスクというものが出てくるという可能性があるわけです。
 今現在、東南アジア等ではそのような可能性というのは極めて少ないと思っているんですが、ただ、EPA締結交渉を進めていくときの一つの大きなリスクだと思っているんです。貿易だけであれば何とかなりますけれども、EPAということは投資が伴いますので、それに対するリスク管理といいますか、そういうソブリンリスクに対する対応をどう考えておられるのか。
 二点目については、大臣でも結構ですし、事務方でも結構です。最初の中南米に対する取り組みについては、できれば大臣または副大臣の答弁をお願いしたいと思います。

○塩崎副大臣 二点ございました。
 一点目の中南米に対する日本としての政策はどうなんだ。特に資源が豊富な中南米でありまして、先生御案内のとおり極めて重要な地域でございます。
 当然のことながら、EPAというのは一つの経済政策であって、さまざまな他の経済政策との組み合わせでいろいろ考えていくべきことなんだろうと思いまして、この天然資源の供給源として極めて重要な中南米については、EPAのみならず、いろいろな政策を組み合わせていきたい、このように考えているところであります。
 チリについては既にお話が進んでいるわけでありまして、特に日本の企業に対するチリの貿易・投資環境の改善をしなければおくれをとってしまうとか、あるいは銅を初めとする鉱物資源の安定供給の確保が喫緊の課題であるとか、あるいは日本からの南米地域への経済進出拠点という意味での位置づけも、非常に重要なチリということもあって、今まさに、これからスピード感を持って交渉を進めて、早く妥結を見たい、このように考えているところであります。
 他にメルコスールなんていうのがこの地域にはあって、ブラジル、アルゼンチン、こういったところが入っているわけでありますけれども、これはどうも他の地域との交渉をやっているようでありまして、我々との間合いは、このチリとの間とは少し離れているわけでありますけれども、こういうことを含めてこの地域については積極的に進めていかなければいけないというふうに思っております。ただ、総合的に勘案をするということだろうと思います。
 一方で、カントリーリスクのお話がございました。これは、もうあらゆる国との交渉でも当然のことでありまして、経済関係を深めるということについては、そういったことを考慮した上で当然のことながら決めていかなければならないということに尽きるわけであります。
 ただ、今のところ、例えばチリの例をとってみますと、政権が三月に新しくバチェレ新大統領、前ラゴス大統領と基本的に政策は変わらない、こういうことでありますので、日本とチリのEPAの早期締結に向けた取り組みは積極的にやっていかなきゃいけないと思っておりますが、先生御指摘のとおり、そのリスクについては当然評価をしながら、しかし、先を展望してその見通しが立つ限りはやはり進めていこう、このような感じでいかなければいけないと思っております。

○吉良委員 中南米については地理的な問題もあり、また、政権、今言ったカントリーリスク、ソブリンリスクに対するおそれもないわけではないんですけれども、やはり日本の資源、エネルギーの安全保障というか安定確保については極めて重要な地域なので、ぜひこことの交渉を早目に進めていただきたいと思っています。
 ちょっと参考までといいますか、もう御承知のことかもしれませんが、中国については、最近、中国の石油公社がベネズエラの鉱区を取得しておりますし、ベネズエラが先ほど言いました反米ということで、今、ベネズエラは六〇%対米輸出ですけれども、これを中国に振り向けさせよう、また振り向けようということで、コロンビア、パナマへのパイプラインを引いて、太平洋から直接中国に出せるというようなこともしております。
 それと、ベネズエラには、オリノコ・タールという石油と砂がまざってどろどろした、オリノコ川というところのオリノコ・タールというのがあるんですけれども、これの埋蔵量たるや、サウジアラビアの石油埋蔵量に匹敵するぐらいあると言われているんです。ただ、なかなか扱いに困る。どろどろしていますのでタンカーにも積めないというようなことがあって、今まではなかなか開発というものが進まなかったんですけれども、原油がここに来て六十ドルを超えるような状況になって、今中国が、このオリノコ・タールについても技術援助も含めて開発というものをやり始めております。これは質問じゃないです。
 私が申し上げたいのは、そのことと、あと南米最大の石油公社であるブラジルのペトロブラスとの間でもまた交渉を進めている。二〇〇五年の二月に、探鉱・開発、精製、パイプライン敷設、技術交流等の分野で協力するというような協定を結んでおります。
 何が言いたいかというと、本来、日本が先に手を打たなければいけなかったところにどんどん中国が先に手を打っている。それも、繰り返しになりますが、日本にとって資源、エネルギー確保上大変重要なところに先手を打たれている。このことについては危機感を持ってどんどん進めていただきたい、これは要望だけさせてもらいたいと思います。
 続いて、ちょっとこの協定の中身について話をさせてもらおうと思っていますけれども、まず、今回のマレーシアとの協定、そしてまたそれに先立つメキシコとの協定も、あそこと結べればいいなというような抽象的な話が先にあったわけではなくて、現場の声、やむにやまれぬニーズがあったと思われるんですが、メキシコとの協定の際の現場のニーズ、そしてこのマレーシアの協定を結ぶ際の現場のニーズ、どういうものがあったかについて説明いただけますでしょうか。

○佐藤政府参考人 メキシコとのEPA協定の関係でどういう事情があったのかということを御説明申し上げます。
 メキシコとの協定は昨年四月に発効しましたが、そのEPA協定ができる前は、メキシコでは関税、政府調達の分野において、自由貿易協定を結んでいる相手方とそうでない国を差別して扱うというような政策をとっておりました。そのため、日本企業はさまざまな面でアメリカ、ヨーロッパの企業に比べて競争上不利な状況に置かれておりました。そういう事情もあって、今回のEPA協定の締結により、そういう不利益な状況が解消されたということがまずございます。
 それから、投資の分野についても、EPA協定ができることによって、原則として日本企業はメキシコや第三国の企業と比べて不利益な扱いをされないということが確保されるようになりました。
 さらに、そういった利益を確保するために、現地進出企業の要望を踏まえて、EPA協定の中に、民間の企業の方も参加できるビジネス環境整備委員会というものを設置いたしまして、これに基づいて昨年四月に第一回会合をやりました。現地の要望の強かった治安の問題、債権回収の問題等を取り上げて議論いたしました。その結果として、メキシコ側が日本企業の関係のある地域のパトロールを強化するとか、債権回収に関するセミナーを開催するなどの形で対応してきております。
 さらに、貿易と投資の動向を見ましても、昨年四月から十二月までの貿易総額が三三・八%増加する、日本のメキシコへの輸出が三七・八%増加するというような効果も出てきております。投資の面でも、自動車や自動車部品メーカーを中心にメキシコへの投資が次々と発表されるということで、メキシコとのEPA交渉の結果としてさまざまな好影響が出てきていると考えております。
 以上です。
○石川政府参考人 マレーシアについてのお尋ねにお答え申し上げたいと存じます。
 先ほど先生御指摘のとおり、マレーシアとの間では、各政府関係者のほかに、産業界の代表あるいは学者の方たちから構成されます共同研究会ということをずっと開かせていただいたという経緯がございます。
 そうした中で、日本企業の具体的なニーズという観点から申し上げますと、この共同研究会において、例えば物品貿易の分野におきましては、マレーシアがその当時比較的高関税を維持しておりました自動車やその部品、あるいはマレーシアに生産拠点を有する日本企業が使用する高品質の鉄鋼製品といった品目の関税撤廃について関心が示されました。
 また、マレーシアにおけるビジネス環境をよりよいものにするために検討が望まれる項目として、電気や水道といったインフラの改善や行政サービス手続の改善等につきましても日本側の産業界から要望が示されたところでございます。
 こうした要望を踏まえて交渉させていただきました結果、この協定におきましては、自動車あるいは鉄鋼といった今の具体的なニーズについて関税撤廃等の合意がなされた次第でございます。
 なお、念のため付言させていただきますと、この協定は、今申し上げました物品の貿易のほかに、サービス貿易、投資、知的財産、反競争的行為の規制、ビジネス環境の整備、さまざまな分野における協力といった幅広い範囲を対象としております。こういったことから、両国間の経済関係を包括的に強化し、一層の連携が強まることを期待させていただいております。

○吉良委員 ありがとうございます。
 ただ一つ、なかなかこういう場では言いづらいんでしょうけれども、今言ったような抽象論では現場のニーズというのはなかなかわかりづらいので、ぜひ、場合によっては個別の企業とかの名前を出してでも、私は、国会議員もそうですし、国民に対しても、より具体的にわかりやすく説明をしていく必要があるんじゃないかというふうに思っています。
 私はよく申し上げているんですけれども、例えばフランスあたりは、フランスの在外公館というのは、ある意味では、フランスにおける国際競争力を持った企業というのは大体国営で一社ぐらいしかないので、その一社を押すことイコールが国益なんで、その在外公館の大使にしろ書記官にしろ、まさにアタッシュケースを持ったビジネスマン、海外営業部長みたいな感があるんですけれども、日本の場合は、必ず複数社出てくるので、どうしてもその中の一社を押すということは政府の立場ではばかられるという、ある意味では遠慮があったと思うんです。
 ちょっとどこか忘れましたけれども、新しいODA大綱か中期政策の中で、相手の開発至上主義というか開発援助のみならず、国益に資することであればどんどん外務省として経済協力ということで支援をしていくんだという方針が出ていると聞いております。
 私は、個別の企業であれ業界であれ、最終的に日本の国益になるということであれば、こういう場でも公にしながら、より具体的なイメージをわかせながら支援してもいい時代に入ってきているんだろう、このように思っておりますので、立場はわかりますけれども、今後、そのような合意ができましたならば、そういう説明をお願いしたいと思っています。きょうはもうこれで結構でございます。
 次に、また個別の質問として、先ほど申し上げました、マレーシアにはプロトンとプロドゥアという国民車、国産車、国策でつくられた自動車メーカーがございましたけれども、部品の関税削減、撤廃、また完成車の関税撤廃というのは、当然ながら、国策でつくってきたプロトン、プロドゥアという会社は不利益になることが予想されるわけです。それをあえて、妥協といいますか、締結に踏み切ったその相手国マレーシアが、このプロトン、プロドゥアに対してどういうインセンティブを与えたのか、最後、首を縦に振らせるためにどういう対策を行ったのかということを御存じであれば教えていただきたいと思います。
 なぜそういうことを言うかといいますと、私はこのマレーシアとの協定が将来的なひな形になると思っています。そういう意味では、必ず、先ほど言いました、利害の対立がある、相手に保護したい国内メーカーがあるときに、どういうやり方でもってそこを納得させたかというのは、非常に我が国にとっても参考になると思っています。そういう意味で、その辺の事情がわかれば教えていただきたいと思います。

○麻生国務大臣 参考人から細目は答弁させていただきますけれども、吉良先生が一番最初に言われたその前のところの、外務省としては、国益に資する場合、いろいろな意味での外交交渉というのを、EPAに限らず、FTA、いろいろやっておりますところに関しましては、外務省は、現地進出企業がパーティーをやる、外務省の公館を使っていただいて結構等々、ぜひおやりくださいというような話をこのところ積極的にやらせていただいております。
 今言われましたように、特定の企業を応援するということは、外務省というか、役所としてはなかなかしにくいという文化がございました。アメリカ大統領、イギリスの総理大臣がお見えになるときは、業者がいっぱい、ごそっと、チョコレート屋さんから、ウイスキー屋さんから、石油屋さんから、みんなお連れになりますので、そういったようなものは別にほかの国では当然なんですけれども、この国ではありませんでした。私はたしか、総務省のときには、IT関係の関係者、百何十社と一緒にインドに行き、その前の年には中国にも同じように参りましたけれども、そういったことはやらぬことになっておったんだと思うんですね。
 しかし、今、現実問題としては、そういうことをやって風穴があくとずっと行きますので、インドとの関係はそれ以後かなりな数の企業が行かれるようになったということで、随分そういった意味での文化、外務省の文化というかこれまでの習性、規則じゃありませんけれども、そういった流れは大きく変わろうといたしつつあるということで努力をしておりますので、ここはどうだという御意見があったらさらに聞かせていただくと助かるというのは率直な外務省全体としてのことでございます。
 今言われた細目につきましては、参考人の方から答弁をさせます。

○平工政府参考人 ただいま先生御指摘ございましたように、マレーシアには、いわゆる国民車メーカーとして政府の認定を受けております自動車メーカーがございます。これらの国民車メーカーは、日本の資本、技術提携先から自動車部品を輸入しております。日マEPAの部品関税の撤廃は、調達コストの削減に通じるということで、国民車メーカー自身にそういった意味で利益をもたらすものということでございます。
 一方、完成車関税につきましても、ASEAN域内の自由化が予定されております中で、マレーシア政府は、過度の保護による産業育成というものの限界から、むしろ自由化による競争の導入によって国民車メーカーの競争力向上に転換しようとしていたところでございます。
 こうした中で、日マEPAにおきましては、日本政府とマレーシア政府の協力事業として、マレーシアの自動車すそ野産業の人材育成等を行うこととなっております。
 マレーシア政府は、このような競争と協調の考えのもとで、マレーシアの自動車産業を振興しようとしていると理解しております。

○吉良委員 ありがとうございます。
 続いて、中身についての質問ということで続けさせてもらいますけれども、今回の交渉の中で一つの大きなネックであっただろうと思われるのが、林産品の扱いだというふうに承知しております。
 我が国の合板用材の国内生産が五十四万立方メートルに対して、輸入量が一千三百四十三万と大幅な輸入超過の中で、ネシアとこのマレーシアからの輸入が非常に多い。こういう中で、林産品の輸入については、合板は再協議、すぐさま輸入また関税を下げたりせずに再協議というふうになったと聞いていますが、これはもちろん国内の合板メーカーに対する配慮だと思っております。
 一方、マレーシアに対する、違法伐採に対する監視を強化してくれというような申し入れもして、またそれも先方も受け入れていると聞いていますけれども、この合板輸入に関する事実関係と苦慮した点について、先ほど言った観点で、また今後参考になるということで説明をいただきたいと思います。

○石島政府参考人 林産物につきましての御質問でございます。
 各国とのEPA交渉におきましては、我が国の林産物を取り巻く事情に可能な限りの配慮が行われるよう進めているところでございます。このような中で、交渉に当たりましては、国内業界とも調整をしつつ行っているところでございます。
 今回のマレーシアとの市場アクセス交渉におきましては、マレーシアの主要な日本向け輸出製品でございます林産物につきまして、マレーシア側が関税の撤廃そして削減に強い関心を示したところでございます。
 これに対しまして、我が国といたしましては、関係業界とも調整をいたしました上で、輸入額が最も大きく、国内産業への影響が最も大きいと考えられます合板につきまして再協議といたします一方、その他の林産物につきましては関税を即時撤廃することで合意したところでございます。(吉良委員「違法伐採」と呼ぶ)失礼いたしました。
 違法伐採の関係でございます。
 海外におきます違法伐採の実態につきましては、必ずしも十分な把握がなされてございません。しかしながら、マレーシアにつきましては、インドネシアから違法伐採材が流入しているとの環境NGOなどによる指摘もなされているところでございます。また、インドネシアにつきましては、生産されております木材の過半が違法に伐採された木材であるという政府レベルの調査報告があるところでございます。
 このような海外におきます違法伐採につきましては、地球規模での環境保全ですとか持続可能な森林経営の推進にとりまして重要な問題でございます。我が国といたしましても、これまで、違法に伐採された木材は使用しないという基本的な考え方に基づきまして対策に取り組んできたところでございます。
 具体的に申し上げますと、二国間協力といたしましては、インドネシアとの間におきまして平成十五年に公表いたしました共同発表、アクションプランに沿いまして、衛星データを用いた森林の現況や伐採状況を把握する技術の開発をいたしているところでございます。
 また、地域間の協力といたしまして、アジア森林パートナーシップを通じまして、合法性の基準の明確化ですとか木材追跡システムの開発を行っているところでございます。さらに、多国間協力といたしましては、国際熱帯木材機関を通じまして、違法木材取引の把握などのプロジェクトの支援を行っているところでございます。
 さらに、これらの取り組みに加えまして、昨年七月のG8サミットでの議論を踏まえまして、本年四月から、グリーン購入法によりまして、政府調達の対象といたします木材、木材製品につきまして、合法性や持続可能性のあるものとする措置を導入することとしたところでございます。

○吉良委員 我が国として、やはり、環境というのが一つのキーワードで、世界に訴えていかなきゃいけないという意味で、実際、違法伐採でも入るときに安ければいいじゃないかというように思いかねないんですけれども、そういうところをきちっと環境に配慮した断固たる措置をするということで、今後とも引き続いて他の協定でもお願いをしたいと思っています。
 あと、マルチチップ集積回路の無税待遇協定、これも議題になっておりますので、これに異論を唱える人はだれもいないだろうと思っていますが、端的にお答えいただきたいと思います。
 この無税化による効果といいますか、我が国に対するメリットは、数字的にどれぐらい出てくると予想されるのか、その点だけ御回答をお願いします。

○石川政府参考人 お答え申し上げます。
 マルチチップ集積回路の無税化でございますけれども、これは、委員御存じのとおり、アメリカ、EC、韓国、台湾との間で、このマルチチップ集積回路に対する関税を無税にするということになっております。
 実は、既に台湾と日本は無税でございまして、EC、欧州共同体、それからアメリカ、韓国が関税を課しております。ちなみに、アメリカは二・六%、EUは二・七%、韓国は八・〇%でございます。これがすべて無税になるということは、我が国の産業界にとっても非常に大きな利益があるものと考えております。
 マルチチップというのが新しいものですから、それそのものの関税分類、統計が実はないのでございますけれども、IC全体で見てみますと、半導体市場の主な構成者は、今申し上げました四カ国・一地域で世界の約七割を占めております。この七割の市場において関税が無税化するということで、半導体産業全体が非常に健全に発展をするというふうに私ども考えさせていただいております。

○吉良委員 私が調べたところでは、二〇〇三年度ですけれども、集積回路輸出が五百二十三億円ありますので、十三億円程度の関税を取られているのが、これがそのまま無税になれば利益になってくる、このように調べさせてもらったところであります。
 以上、経済連携協定に対する質問は終わらせていただきまして、これをも含めた海外経済協力のあり方というものについて、ちょっと残りの時間、話をさせていただきたいと思っています。
 今回、政府系金融機関をどうするかということも含めて、有識者が集まった中に、海外経済協力に関する検討会というものが立ち上げられて、その報告書ができて、私も、これ、じっくり読ませていただきました。非常に説得力のあることが書かれております。
 一つ、この報告書で顕著なことは、ODAということになれば、まさに、いわゆる狭義の定義どおり、日本でいえば、今やっていることといえば、無償援助であり、技術協力であり、円借款ということになるわけですけれども、海外経済協力という定義は、これにとどまらず、政府系金融機関の融資、OOF、アザー・オフィシャル・フローズという言い方をしているようですけれども、一言で言えばJBICの、国際協力銀行の海外金融業務ということになろうかと思います。
 この報告書の中では、このJBICの国金業務、国際金融業務についての必要性というものがかなり詳細にといいますか、しつこいぐらい書かれておるところであります。
 前回の麻生大臣に対する質問とまた重複して恐縮なんですけれども、はっきり言って、私は、JBICの国際金融業務を切り離して、ほかの政府系金融機関、国民金融公庫だとか中小企業金融公庫と合体することに反対であります。
 なぜならば、この報告書でも触れられておりますし、政府でも方針として決まっております、海外経済協力会議、ある意味では、経済外交を一元化して、頭脳と実施機関と一体性を持たせていこうということが方針として出されていると思っております。
 この中でも触れておりますけれども、日本の円借款を中心とした援助のおかげで、東南アジアを中心としたアジア諸国がどんどん経済発展をして、アジアの時代と言われるようなところまで来た、これは日本の貢献だというふうに思っています。
 ただ、当然のことながら、発展をしてくれば、いわゆる被援助国卒業ということになってくるわけですね。ただ、まだまだインフラ整備の需要とかは大きい。そのときに、相手国の立場に立った、政府の立場、相手国の経済界の立場に立ったときに、必要とされているものが、日本で言うJBICの、もっとわかりやすく昔の輸銀業務だというふうに思っておるわけです。
 この報告書でも、それだけ必要だ必要だ必要だということを書いていながら、済みません、前回と同じ質問になる、なぜ、わざわざ切り離して全然異質の組織にくっつけなければいけないのかということ、私はもう全くわからないんです。
 私は、焼け太りすることがないように、本当に日本の国際社会における位置づけを考えたら、経済外交省というのがあってもいいぐらいだと思っているんです。
 そういう意味では、この海外経済協力会議というのが一つの大きな組織になって、経済外交を推進していく母体になるべきだ、そしてまた、その実施機関もそこに直結するような組織にしていくべきなんだろう、私はこのように思っておりますけれども、いま一度、麻生大臣の所見をお聞きしたいと思っています。

○麻生国務大臣 これは、吉良先生、そもそも、もともとのOECFと輸銀とを合併してJBICにするときに話がさかのぼって、ちょっと思い出していただきたいところなんですが、私どもから見て、そこそこ商売をした方からいくと、十年据え置き、二十五年の返済、それは金融か。普通、おまえ、大体金返すのは十年以内だろうが、それを十年据え置き、二十五年の返済なんというものは、それは果たして金融かというOECFの社会と、輸銀の社会、いわゆる輸出入銀行ですけれども、銀行業務とを一緒にするというのに、そもそもちょっとこれは無理があるんじゃないかというのが最初の出だしだったんです。
 しかし、そのときはしゃにむに一緒にされたのですが、今度は、一緒になったらなったで、分かれるのはいかがなものかという話がまた同じ役所から出てくるから、ちょっと、同じ役所でも人がかわればこれだけ変わるものかというぐらい、時間がそうさせるのでしょうけれども、そういった話が正直ありました。
 御存じかと思いますが、国際金融というのは約一兆一千億円ぐらいやっているのですが、その国際金融という、いわゆる昔で言う輸銀の部分というのは、約一兆円を借りているのは日本企業なんです。相手の国が借りておりますのが約一千億。十対一ぐらいの比率と思っていただければと思います。
 傍ら、その円借の部分は、これは六千五百億ぐらい。その六千五百億の分のほとんど一〇〇%が相手の政府ということになりますので、貸し付けている相手の内容は全く違うというのがまずちょっと現実としてある。 それから、続きまして、今言われましたように、JBICという名前で、これはやはり大蔵省の、JBIC、かつての輸銀がそのプロジェクトにくっつくと、日本の銀行も安心してついていくという、リードをするという意味での効果というのはすごく大きかったというのは事実だと、私も海外にいて、それはそう思います。
 したがって、私どもとして、今回の結論としては、いわゆる円借とか無償とか、そういった部分はJICAの中に統一するにしても、この輸銀の部分というのは、これはどうしても必要なのではないか。そこで、JBICという名前も残した上で、今度は、政府系金融機関は農林中金とか全部一緒になられますので、この中に輸銀の部分というのをJBICという名前もつけて残して、今言ったような御質問に対して対応していこうとしているのであって、私どもも、このJBICの輸銀の部分というのは極めて有効だと思っております。
 したがって、その種の機能は、新しくできる政府系金融機関の中にきちんと残した上でということになってまいりますので、形としていろいろ御懸念のところはあろうと思いますけれども、借りている側から見れば、実態としては今申し上げたような実態になっておりますので、話のスムーズな通り方としては、今回の形の方が、相手国側からすると交渉する相手があっちこっちになりませんものですから、新JICAというところでやりやすくなるのではないかというのは率直な実感でもございます。
 いろいろやってみて、また不都合があったら変えなければいかぬところが出てくるのかもしれませんけれども、今のところは、実態から申し上げますと、そういったやり方の方が正しいのではないかと思っております。

○吉良委員 前回もちょっとこの議論をやらせてもらったのですが、政府といいますか、また自民党さんといいますか、とにかく大胆な改革ということで、形がとにかく大胆な改革をしていると見えなければいけないんだという強迫観念に駆られ過ぎているんじゃないかと私は思っていまして、では、何でそういうふうに政府系金融機関を一体にしなきゃいけないのかと考えたときに、もちろん、歴史的使命が終わったような、民間でできることは民間でやらせればいいのです。
 今、麻生大臣がおっしゃったように、私も、今おっしゃったのは、個別で言えばサプライヤーズクレジット、これはもうやめてもいいと思っています。だけれども、相手国だとか相手国の事業者、企業から求められる、例えばバイヤーズクレジット、バンクローン、アンタイドローン、それから一歩進んだプロジェクトファイナンス、こういうものは今後ますます必要になってくる。
 ということと、日本の、もうちょっと本当は時間欲しいところだったな、最初延ばし過ぎました。今後も日本が相手国のインフラ整備、経済発展のための基盤に支援をしていくんだということであれば、相手国は、実はもう、かなり一人当たりの国民所得が上がってきた国は、円借款、それほどありがたくないのです。円という為替リスクもある。グレースと言いながらも、彼らは、円だけではなくていろいろなところからの借款も受けられる。そしてまた、日本のJBICを含めた各国の制度金融からの支援も受けられる。そうなったときに、円借款というのは昔ほどの魅力はないのです。
 そして、前回も言いましたけれども、相手国政府も、自分のバランスシートの中で債務をふやしたくないんです。そうしたときに、相手のニーズはよりJBICの国金業務にというか、国金金融が必要になってくるということなんだと思うんですね。
 ですから、私は、援助しようとする相手がだんだん発展しようとしているわけですから、日本の経済協力のあり方というのも、昔のOECFからだんだん旧輸銀の方にシフトしていくものなんだろう。そのときに、わざわざ、細かく言うと、では、新しい政府系金融機関のデシジョンシステムはどうなんだ。ボードメンバーが何人いるか知りませんけれども、五人、十人いた中で、JBIC側からは一人で、あとは全部国内金融の方々がボードメンバーになっているときに、どうやって決めていくのか。いや、それはもともとJBICは異質だから分けるんだということであれば、もともと分離させておけばいいんじゃないかと思うんです。
 大事なことは、天下り先の温床とさせないということと、さっき言いました、歴史的な使命が終わったものを排除していって、残してもスリムにするということなんです。かえって政府系金融機関、こんなどでかいものを残して、どこがスリムになったのか、歴史的使命が終わったようなところが本当に削られているのかと確認できないよりは、異質なものといいますか、単独で必要なものは残して、きちっとそういう方向にあるかということが検証できる方がはるかにいいと私は思っています。
 答弁を求める時間がもうありませんので、私の言いっ放しにさせていただきます。
 もう時間を過ぎて大変恐縮で、皆さん、申しわけないんですが、今回のグアム移転、済みません、日米の審議官級の協議がありましたけれども、これは質問通告はしていなかったんですけれども、昨日行われたようですので、簡単にちょっとその要点だけをお知らせいただけますでしょうか。(発言する者あり)

○麻生国務大臣 通告がないのであれで、理事はもう時間が過ぎとると言って今こちらの方からあれですけれども、昨日、二十三、二十四日、東京でさせていただきました。結論が出たわけではございません。
 細目、今詰めを積み上げつつあるところで、月末までにもう一回再度、かわりばんこになっておりますので、今度はこちら側の方から向こうに行って細目を詰めることになろうと思いますが、基本的には、私どもとしては沖縄の負担の軽減というのが非常に優先をしておりますので、抑止力の維持と負担の軽減という、これはかなり二律背反する要素もあるんですが、それを知った上でとにかく要求をしております。
 したがって、負担の軽減というところに関しましては、向こうは別に出ていきたいわけではありませんので、そこらのところは促進をする意味では、家族含めて約一万七千人ぐらいになろうと思いますので、その方々のいわゆる住居の問題については、私どもの方としては、負担の軽減になるというのであれば、ある程度措置をする必要があるのではないかという気持ちはないわけではありません。
 ただ、その額につきましては、まだなかなか乖離があるところというのが正直なところで、今まだその他につきましても細目を詰めているというのが現状だと御理解いただければと存じます。

○原田委員長 吉良君、もう時間が過ぎておりますので。

○吉良委員 超過して申しわけありませんでした。
 終わります。


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