No.015 165回国会「衆議院 外務委員会 2号」 2006年10月25日
①平成18年10月25日 外務委員会 ○山口委員長 次に、吉良州司君。
○吉良委員 おはようございます。 いつも麻生大臣を相手に、真の独立を追求すべし、そのために日本人みずからの手で自主憲法を、そして、自分の国は自分で守れ、自主防衛路線をということを訴え続けております、民主党の吉良州司でございます。 北朝鮮問題につきましては、先日、我が党の山口壯委員が本会議場でも申し上げましたように、政争の道具には使うべきではないというふうに思っております。ただし、山口さん、外務省OBで経験豊富でもあり、安全保障の専門家でもある長島委員等おりますので、我が党の意見にも耳を傾けていただきながら国難に対処していただきたい、このように思っております。 きょうは新JICA法改正案であります。冒頭、非常に初歩的といいますか、そもそも論で恐縮ながら、ODAの目的とは何ぞやということをまず麻生大臣にお聞きしたいと思います。
○麻生国務大臣 基本的に日本として何を考えているかといえば、今、最近ではよくテロが例に引かれますけれども、テロリズムの起きる背景を、単純に宗教とか人種とか地域とかいろいろな理由になっていますが、テロリズムの発生する大きな原因の一つに、貧困というのは忘れられていると思います。特に中近東なんかで、失業率四〇%とか、特に若者の失業率四八%ということになって、やはり、先がない、夢がないということになりますと、どうしても、うっせきしたものから爆発、テロに走りやすいという環境がもう必然的にそこにある。 そこにあって、日本としては、ODAというこの種の技術、無償、有償、いろいろありますが、そういったものを含めて、その地域の人たちに、働くとか生活するとか労働するというようなことを、きちんと夢を与えるという意味の一端となるというのは大きなものだと思っております。 もう一点。よく、金の話ばかりで、もう一つの技術協力の場面が話になりませんけれども、今、吉良さん、インドに行かれますと、インドで、多分ニューデリーで最大の話題というのは地下鉄だと思います。この地下鉄の入り口には、日本のODAによってこの地下鉄はつくられたんだということが、もうだれの目に見ても明らかに、大きくきちんと書いてある。どこかの国のように、だれがつくったかわからないようにしてあるようなことはありません。きちんと、日本がつくったということがわかる。 そして、いろいろそこに乗せてもらったこと、乗ったこともありますし、総裁の説明も聞いたこともあるんですが、そこに行くととにかく、そこの作業に携わったインドの人たちがいるんですが、我々は、この地下鉄をつくってもらったということも大きいが、働くということに関する道徳とか、労働に対する喜びとか責任とかいうものも同時に教えてもらった。なぜなら、彼らは時間どおりに進めてきた、時間どおりに作業は始まり、日本人が我々に教えてくれた唯一の日本語は納期、とにかく納期一つ。納期を徹底してやられて、もうとにかく納期、納期で追いたくられて、これだけ大きなプロジェクトを予定より三カ月と何日か早目にできたというのは、もうインド史上始まって以来。かつ、今でもこの地下鉄は五分以内のおくれで全部物が動く、というような公共の乗り物は今インドじゅう探してもこれしかない。 したがって、いわゆるきちんと動かすというようなことを含めて、これは労働とか運転とかいうことに関する責任というものをこのODAを通して教えてもらったんだ、これが最も感謝しているところだと言って、インドの地下鉄公団総裁という人から延々と話を聞かされたことがあります。 したがって、お金によってその地域の貧困というのが助かるというのは大きなところでしょうが、同時に、日本人の労働という文化、労働という価値観が移転されていっているという点も、我々としては、我々の気がつかないところで先方が感じているという点では大きなところではないかと思っております。 〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕
○吉良委員 今、貧困からの脱却の支援と、それから、日本的価値観とでもいいますか、労働文化の移転ということをおっしゃられたわけですけれども、私の理解するところ、日本のODA方針というのは、基本的には、相手の自助努力を促す、自主性を重んじる、そういうところから、手続的にも要請主義というのをとって、相手の意思を確認した上で援助していく、こういうことかと思います。 その中で、確かに、貧困撲滅それから保健衛生等、最近、アフリカ諸国等への援助もそういう観点からの援助が盛んなんですが、例えば、大ざっぱに言って、今言った相手の自主性を重んじる、相手のニーズを重んじる、それにこたえていく、いわば慈善事業といいますか慈善事業的な援助。それからもう一方で、やはり先ほども出ていましたけれども、ODAというのはある意味で日本の、特に経済外交というふうに見た場合に最大の、最強の戦略、戦術、手段である。そういう意味で、日本がODAを通しての国益追求、相手のためにもなりながら国益を追求していく、こういう要素もあろうかと思っているんです。 黒か白かということではないんだと思いますけれども、あえて言うならば、慈善事業型援助と国益追求型援助、麻生大臣はどちらを志向されるでしょうか。
○麻生国務大臣 これは今おっしゃいましたように白か黒かという話じゃないと思いますけれども、国益の追求というものは忘れられちゃいかぬ重要なところだと私自身はそう思っております。 こういうのは回り回って国益追求ということに、どんな形でならせるかというのは、私は、よくこの例を引くと、おまえ、また漫画かと言われちゃいそうですが、いわゆる占領中に、日本に入ってきた占領軍がやった政策の中に、漫画というのがあると思っております。 一つがポパイ。このポパイという映画で、アメリカの兵隊さんは人がよくて力持ちというイメージをつくり上げるのにこれくらい成功した漫画はないと思います。 二つ目はブロンディという漫画で、これは我々の世代が今読んだら、もうこんなくだらない漫画はないぐらいつまらない漫画なんですが、その漫画の中に、チック・ヤングという人のかいた漫画なんですが、核家族、そして郊外住宅、三種の神器、三C、すべてあの中に含まれておりまして、あれをずっと、あれこそが理想の生活だと思わせるのに成功したという意味においては、アメリカの生活というものをこれぐらいうまく日本の中に溶け込ませたものはない、私はそう思っております。あれは、ただで配っているみたいなものなんですが、結果としてアメリカの生活はいいものだと思わせるのにあれぐらい成功したものはないと思いますので、回り回って国益の追求になっていった。 手段はいろいろだと思いますけれども、こういったところは一つ一つ、戦略的には、占領軍、GHQの民政局がやった対日工作の一つですけれども、非常に成功したものだったと思いますので、やはり考えた上でやるというのが大事なところではないかと思っております。
○吉良委員 御回答のとおり、確かに白か黒かというものではないし、それこそバランスだし、結局はめぐりめぐって国益だという御回答だと思うし、そのとおりだというふうに思います。 ただ、やはり日本の財政の問題、財源が限られているということと、昨今、私いろいろな場で言っておりますけれども、日本の生命線とも言える資源エネルギー価格が高騰し、また、後でも申し上げますけれども、中国が世界各地でいろいろなエネルギー資源を買いあさっているというような状況を考えたときに、さっき言いました慈善事業型の援助と国益追求型の援助、おっしゃるようにめぐりめぐって返ってくるんだけれども、今、短期で見た場合によりどちらを重視するのか、どちらに軸足を置くのか、私はおのずから回答が見えているんだろうと思っています。 その意味で、ここしばらくのアフリカ向けのODAというのは、二〇〇〇年のミレニアム宣言、それから二〇〇三年の東京のアフリカ開発会議等々で、世界的な枠組みづくりと日本がイニシアチブをとったアフリカ支援というものもあって、急激にふえている、またふえつつある、こういう了解をしておりますけれども、ただ、本音のところでは、アフリカ諸国への援助の増加、増大というのは、国連安保理入りの票稼ぎという部分があったのではないかというふうに思っております。 なかなか本音を語りづらいとは思うんですけれども、その観点と、最近、アフリカというのは、今言った限られた財源なり日本の差し迫った国家的な経済安全保障という観点からすると、少しばらまき過ぎではないかと思っておりますが、その点はいかがでしょうか。
○麻生国務大臣 基本的にはこれまで、吉良先生、アフリカはヨーロッパ、アジアは日本、中南米はアメリカ、そういった感じで何となく皆さん責任を持たないかぬというようなところは意識としてはあったと存じます。 おかげさまで、日本が担当したアジアだけは、他の国と比べてアジアだけは発展していった。少なくとも、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、この四つが最初に、ミニドラゴンズと言われて、フォードラゴンズとかいろいろな表現がありましたけれども、離陸していった、間違いないと思います。 日本とつき合った方がうまくいくと思って、多分インドネシアもタイも方向転換をして、同じくこれも成長している。最後までこっちを向くというか向かなかった形になりましたフィリピンがASEANの中では結果的には一番おくれた形になった。これは、事実だけを言えばそういうことになります。それを政策的にやられたとは思いませんけれども、結果的にそうなったというのは事実だと存じます。 今改めて、アジアはそこそこ皆行き始めたところになって、多分、ベトナム、ラオス、カンボジアというところが少し、社会主義やら何やらでおくれたところもありますので、そこらのところが今始まったところですけれども、その中でもベトナムだけは間違いなくちょっと一歩抜けたかなという感じになってきております。 他方、アフリカの方はといいますと、五十三カ国ありますけれども、アフリカの中で五十三カ国で、南アフリカ共和国で三分の一、それからエジプトとモロッコでしたかどこか一カ国で三分の一、残り五十カ国で三分の一ですから、GDPで見ますと。それは極端に国力というのが、国とはいえ、偏った形になっているというのが実態だと存じます。 そういった中にあって、やはりアフリカに対する仕方というのは、これは日本的なやり方はアジアで成功したんだけれども、アフリカへのやり方はヨーロッパ的なやり方。多分、南アメリカは、住んでおられたから御存じだと思いますが、これはアメリカ的にやってきたんだと思いますが、形としてはどうであった、結果論としては今みたいな形になっております。 したがって、この点をどうするかというところで、私ども、アフリカの中にあってやはり日本的なやり方をしたらこういうことになるんだということを、きちんとした例として、成功例を幾つかつくり上げたいと考えております。 今、常任理事国の話がありましたけれども、確かに前回常任理事国を表明した九十カ国のうち、アフリカからの推薦はたしか二十だと記憶しますので、そういった意味では私どもとしてはこのアフリカに、国数が五十三もあるという現状を考えたときに、アフリカの理解をより得るために努力をしていかねばならぬというのも確かだと思います。 しかし同時に、アフリカの方も日本からのそういった技術の協力であってみたり、そういう援助、資金に限らずいろいろなものを期待しているというのは、最近日本に来られるアフリカの方々を見ていますと、アフリカも五十三もありますので、常に内乱がずっと続いている国もあれば、内乱が一回も起きずにずっとやっている国もある。実にいろいろでありますので、私どもとしてはそういった中をきちんと見て、日本としてやれること、向こう側もこれならやってもらいたい、双方の話し合いがきちんとできないと効果的なことができないと思いますので、よく踏まえて対応してまいりたいと思っております。
○吉良委員 説明自体はわかりました。二つのことを申し上げたいと思います。 まず一つは、後に言おうかと思ったんですけれども、新JICA、巨大JICAが誕生するに当たって一つどうしても申し上げたい、また、できれば制度の中、人事、組織、将来ビジョンの中に組み込んでいただきたいことは、当然のことですけれども、援助をして相手の国が発展をしていく、日本はそれを目指しています。それが貧困撲滅だし経済発展だし幸せだ、こういうことで発展を促している。だから、日本の援助が成功すればするほど、無償から無償卒業国になる、次は借款卒業国になる、だんだん援助が要らない国になっていくわけです。そうなってくると、ある意味でこの新JICAも、目的が成功すればするほど、本来組織としては縮小していく、そういう運命にあるわけなんです。 一番怖いのは、世界最大の援助組織になる、その組織維持だとか組織増殖のために、さっき言った国益とか日本の足元の諸条件を考えたときに、必ずしも重要でないことについても手を出していく可能性があるわけです。そういう意味で、この新JICAを誕生させる際に、きちんとエグジットルールというんですか、出口戦略、卒業すればどんどん縮小するということを最初から組織の中に組み込んでおく、人事の中に組み込んでおく必要があるんだろうというふうに思っています。 私は、前回も言ったかと思いますけれども、今回の旧OECFのJICAへの統合というのは大反対でありました。というのは、性格が違う。確かにODAの枠には入るけれども、一方では、技協だとか無償という形の一種の草の根援助に対して、借款と旧輸銀の国際金融というのはある意味でインフラ整備を中心とした生活と経済の発展ということを大前提としたプログラムなので、そこは実は大きく違うところなんですね。 そういう意味で、私、何が言いたいかというと、実はさっき言いましたように、援助が成功すればするほど、無償から借款、借款から卒業して、そうすると今度は旧輸銀プログラムになっていく。そういう意味では、このJICAにかかわる人材も、もちろん技協だとかその辺のアレンジをする人は別として、少なくとも旧OECFにかかわっている人たちは、卒業していけばそれが輸銀の方に、国際金融業務の方に移っていく。そこもまただんだん卒業してくれば、プロジェクトファイナンスだとか投資金融だとか、そちらの方に移っていく、こういう運命にある、そういう組織だということです。 私がアフリカの例を出したのは、先ほど言った安保理の常任理事国の布石ではないかという要素と、やはり、今言ったようにだんだんアジアが卒業していっているわけですから、やることがなくなってくるわけですよ。そうすると、そんなに危急ではないことまで手を出してしまう。このことについてきちっとした歯どめをつけていただきたい、このように思っております。これについては、私も言いっ放しにさせていただきます。 同時に、アフリカを一つの題材にして私が思いますのは、やはりさっき言った、限られた資源の中で選択と集中をしていくべきだ、ばらまきをやめるべきだ、このように思っています。将来的には別です。日本が余裕があれば別です。 そういう意味で、ちょっとお手元にお配りした資料を見ていただきたいんです、これはちょっと順番が、二枚目の方が本当は三番目に来るはずなんですけれども。 一番上にあるのが「アフリカ地域の資源分布」であります。 今麻生大臣おっしゃったように、南アそれからエジプトというのに金額的には相当な援助をしている。ところが、アフリカはアンゴラだとかナイジェリアとか、こういう天然ガス資源、石油資源の豊富な国と、それからいろいろな意味でのレアメタルといいますか、希少金属が産出される国がある。これは私も言い続けていますけれども、希少金属というのは日本の素材産業を支えている本当に貴重な資源でありまして、先ほど言いましたこういう国々に対しての国益追求を、意図を持って選択と集中をしていくべきではないか。 なぜそういうことを申し上げるかというと、日本独自の問題もありますし、同時に、このA4の横長の紙を見ていただきたいんですけれども、中国は世界的にあらゆるところに化石燃料及び鉱物資源の買いあさりといいますか、をやっている、こういう状況なわけですね。そういう中で本当に日本が経済安全保障、エネルギー資源の安定確保という観点からきちっと確保し続ける、そのためにもODAを活用すべきだ、私はこのように思っておりますが、その辺についての大臣の所見はいかがでしょうか。
○麻生国務大臣 これは言われるまでもなく、日本の場合は無資源国家ですから、いわゆる天然資源に恵まれておりませんので、そういった意味では、資源とかエネルギーの確保というものは日本の国策上最も重要なものの一つだということはもうはっきりしております。 したがって、私どもとして非常に大事なところは、資源のある国というのは、南アフリカの例とかアフリカの例を引くまでもなく、資源があるからなかなか話が、国内の統治が、そこに利益がありますので、無資源国家の方が大体政治的には安定しておりますな、これは見たらおわかりのとおりだと思います。 例えばガーナとかスーダンとか、何もないところは逆に政治的にはいまだかつてごちゃごちゃしたことがないという国の一つに、例えばこの間野口英世のところのガーナに小泉総理が訪問されておられますけれども、このガーナなんというのも西アフリカにありまして、最も政治的には安定した国の一つだと存じますが、ここは資源というものはない、逆にないから安定しているのかもしれませんけれども。 そういったところを見ますと、私どもとしては、資源のあるところに手を出すと逆に難しいというところが、どちら側、どちらの政府側か反政府側についてという話になって非常に話が込み入るというのもあって、なかなか南アフリカ、アフリカという国自体に全体的に積極的に出ていく、特に資源国の資源を目指して出ていくというのを政府としてはしてこなかったというのは事実だと存じます。 ただ、今おっしゃるように、中国の場合は急激な勢いでこのところ経済成長しておりますし、エネルギーの生産性というかプロダクティビティーというんですかね、石油一リッター当たりの生産性というのは日本の十分の一ぐらいですから、生産性が悪いために、同じ物をつくるにも日本の十倍石油が要るという、簡単にはそういうことです。したがいまして、そこらのところで十三億人掛けますともうとてもじゃないけれどもというようなことになっておられるのが、多分向こうの立場だと思っております。 したがって、日本の場合は、そういうことをされるよりは日本の省エネの技術というものをおたくは買われた方がよほどむちゃくちゃなことをせずに済むんじゃありませんかというのが我々の言い分で、こちらの方がよっぽど話がよろしいとは思いませんかというのが我々が中国に言っているせりふの一つです。 ぜひともそういった意味でこういったものを十分に考えてやっていかにゃならぬぞという御意見は全くそのとおりだと存じますが、今申し上げたような事情にあるということで、こっちに手を出すということが同時にいろいろなものを、そこの内部の、内乱の騒ぎの一部に、一端に加担するのがまた話を非常に込み入らせてきたというのがこれまでの経緯で、やっと話がついたと思ったら政権がひっくり返って丸々それが国有化されるとか、幾つもあります。そういった例を考えながら慎重にやっていかにゃいかぬところだと思いますが、基本的には、資源確保というのは国策として最も大事な政策の一つ、それは間違いないと存じます。 〔小野寺委員長代理退席、委員長着席〕
○吉良委員 今の答弁との関連で、ちょっと技術的な話になりますので委員の方でも結構ですけれども、現時点はやっていないし、やれないということだと思うんですけれども、将来的にドル借款、今円借款です、それは日本の事情はわかります。先ほど言いました相手国の立場、相手国のニーズを考える、それと今麻生大臣がおっしゃったこと、ちょっと後ほど言いたいと思いますけれども、考えたときに、ドル借款というものの是非について検討されたことがあるのか、将来的に余地があるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○別所政府参考人 お答えいたします。 委員も御存じのとおり、従来、円借款ということで、円建てということに一貫してきたわけでございます。 ドル建て、あるいは円建てではない借款について希望があった場合もあろうかと思います。ただ、実際問題として私どもの事業を考えてまいります場合に、やはり国民の税金を使って行うということでございますので、それを効率的に行うということを考えた場合に、日本政府やあるいは国際協力銀行が多額の外貨を工面して貸し付けるということに伴う非効率性とかそういったこともいろいろ考えなきゃいけないということでございまして、今まではそういうことをしていないということでございます。
○吉良委員 私の方からも言いましたように、現時点やっていないということと、超長期ですので、為替リスクを日本側として伴う、そこにリスクがあるのでやりづらいというのはわかります。ただし、実際ニーズが今はそれほど出てきていないと思います。それは円借款しかだめだと相手国が思っているからであります。 そして、実はなぜこういうことを言うかというと、今、麻生大臣がおっしゃったように、確かに資源が産出する国というのは紛争が多い、政争が多い、これは事実であります。したがって、そういうところに対してやはり日本単独で出ていくのではなくて、欧米諸国と一緒になってエネルギー資源確保のためのプロジェクトをしかけていくという観点も大事だろうと思うんです。 今まで借款の利用ができていないのはなぜか、当然これはOECDのガイドラインがあるからであります。ところが、先ほど言いましたように、中国はOECDに加盟していない。ですから、先ほど表にあったように国家機関が露骨に出ていっているわけです。中国を除いた先進国は、今までの競争というのは先進国間だけでしたから、お互いちょっと突出したりはやめようなということでルールができていた。それは理由があったし、わかるんです。 けれども、今や中国だったりロシア、主に中国でいいです、そういう先進国と国力的には匹敵するかそれ以上の国があって、OECDに加盟していない、OECDガイドラインに束縛されない、そこが世界じゅうの資源を買いあさっているわけです。 こういうときに、主張する外交を標榜する日本政府として、OECDのガイドラインという枠を超えていく、新しく先進国としてきちんとエネルギー資源の安定確保についての新しい枠組みをつくっていく。その際に、今までのガイドラインでは禁止されていた、そういう借款のレベルというかその基準、それから制度金融の基準というものを変えていく、そういう努力をしていいんじゃないかと思うんです。 先ほど答弁ございましたけれども、以前は輸銀の融資も原則円だったわけですよね。ところが、民間の取引の中で、ビジネスの中では、御承知のとおりドル需要が非常に多い。しかも規模が大きくなるということで、日本単独ではできなくなって、やはり日本と欧米諸国のコンソーシアムというような例が非常にふえている。そういう中からドル需要がふえて、結果的にはドルでの制度金融というのは認められるようになっているわけであります。 今言ったように、その延長でいけば、日本のまさに国益の最たるものであるそういうエネルギー資源の確保というところで、ある意味で中国に対抗する意味でも、先進国での取り決め、OECDガイドラインの新たな枠組みづくりをやってもいいのではないか、このように思いますけれども、所見はいかがでしょうか。
○麻生国務大臣 吉良さん、これは一つの考え方です。間違いありません。 加えて、円が今の状態で百十八円。御記憶かと思いますが、一九九四年四月の二十八日は一ドル七十九円九十八銭ですから、だからそういった意味では、いわゆる円が今安くなって一ドル百十八円、九円というようなときになって、逆にドルで金を稼いで円で返した方がより返せるというときになっておりますので、それほどあれだと思いますが、逆にこれが円が高くなってくると、今言われたような需要はより多くなってくるであろうということは容易に想像のつくところです。したがいまして、これらのところをどういうように考えた方がいいのかというのが一点。 それから、OECDの中にあって、やり方が余り、ちょっと柄が悪いんじゃないか、そういったやり方はしないといういわゆるジェントルマンアグリーメント、暗黙の了解ではなかったか。そういった中にあって、一ついきなりというのに関してはちょっと待てという話がだんだん出てくるような状況になってきている。 それから、何となく、今、社会主義国っぽいところに手が出ているところがさらに話をベクトルがかかって見るような形にならざるを得ないという昨今の状況があることも確かだと私も思いますけれども、全体としてもう一回この枠組みを考え直さないかぬのではないかという御指摘は一考に値すると存じます。
○吉良委員 それに関連して、また新たな提案といいますか問題提起をさせていただきたいと思っているんですけれども、先ほどちょっと触れましたが、実はインフラ整備というような観点からいくと、借款とそれから制度金融の方がより一体性がある、こういうことなんですね。 私なんか、前職が商社に勤めておりましたので、相手国のニーズにこたえていくというときに、自分たちがどういう武器弾薬を持っているか、弓矢を持っているかとそろえたときに、そこには本当に一貫性があるんです。 例えばの例を申し上げます。 今、これだけ石油価格が高騰していますから、石炭というのが当然見直されています。今、発展途上にある国が産業の米としての電力が欲しいというときに、当然石炭火力発電所というものが競争力を持つわけですね。その際に、御承知のとおり、世界的な方針でもあり日本政府の方針でもあるけれども、当然環境に配慮しなきゃいけない。だから、NOx、SOx、何というんですか、脱硫・脱硝装置、これをつけるというのは当然のことになるわけです。 ところが、御承知かと思いますけれども、脱硝・脱硫装置というのは精度が高くなると発電設備一式分ぐらいの値段がするわけです。非常に高い。そうなれば、今新たな石炭火力発電所のプロジェクトを民間ベースでやろうとしたときも、実はこの脱硝・脱硫部分については借款でやってくれ、そして発電所部分のところは、本来一体なので切り分けするのはできないんですよ、だけれども、民間として成り立つ、相手国政府としてもまた相手国企業としてもやりやすくなる、日本企業のサポートにもなる。そういう意味では、今言った脱硝・脱硫装置のところは借款で、そしてほかの発電設備のところは制度金融で、またはプライベートファイナンスでということができる。 場合によって、我々商社にいた人が、相手国が、今言いましたように、ここを、この地域を発展させたい、こういうことでこの地域に電力が欲しい、また港を拡充したいというときに、例えばある意味で経済特区構想をこちらから提案して、ここに発電所をつくりましょう、今言った石炭火力発電所です、脱硝・脱硫装置ですと。そして加えて、例えばコールハンドリングシステム、だから石炭の搬送、麻生大臣を前に石炭の話をして恐縮でございますが、そういう設備も港湾の近代化とあわせて、例えば借款を使っていくだとか、こういう提案がやりやすくなるんです。 そういう意味で、相手国のニーズにこたえながら日本としてもきちんとこたえていく、日本の企業のサポートをしていくというようなときに、ここには一貫性があるんです。 ということで、連絡会議というのは旧輸銀の部分と新JICAであるようですけれども、これはより密接なものにしていただかないといけない。もし自民党で、私のきょうの質問を聞いて、あれは間違いやった、やはりJBICはもう一回簡潔に、私、族議員のつもりじゃないんですけれども、やはり一体としてもう一回戻すべきだということがあればなおいいと思っています。そういうぐあいに、やはり相手のニーズにこたえつつ日本のサポートをしていく、こういう観点をぜひ見ていただきたいなというふうに思っております。 もう時間がなくなったので、そのことをちょっと申し上げて、あと、やはりこの新JICAができる際に再度お願いしたいことは、これまた私も商社におりましたので、実際、JICAという実施機関、実施機関とはいいながら、私に言わせると、実はODAの中のおみこしなんです、みこしなんです。 では、みこしはだれが担いで一生懸命走り回っているかというと、実際は商社だとか現地にプロジェクトをやっているメーカーさんだとかコンサルさんだとか、そういう人たちがみこしを担いでいるんです。それで一生懸命走り回って初めてプロジェクトが紹介される。もちろん技協とか商品借款、無償は別にしまして、一般プロジェクト無償だとか、それから借款というのはまさにそうです。もう民間企業がはいずり回ってみこしを担いでいるわけです。なかなか公の文章に民間を利用するということの具体的な形というのは書きづらいと思います、すぐ癒着だ何だ言われますので。 ただ、実際は、ODAを支えているのは本当にみこしを担いでいる民間だということで、その民間企業の有効活用、彼らが、僕は談合しろとは決して言いません。ただ、一つ言いたいと思いますけれども、一九八〇年の終わりから九〇年の初めにかけて日本の資金がだぶついたときに、還流計画ということで、借款のアンタイド化がどんどん進みました。今みたいに日本の経済がこんな、まあ少しはよくなりましたけれども、厳しかったときもその流れでずっとアンタイド化が、極めてお人よしの政策だったわけです。私に言わせたら、資金還流計画というのを、もう十数年前のことをいまだに引きずるのではなくて、ここはある程度、私はタイド性を持ってきてもいいと思っています、貴重な税金を投ずるわけですから。 そして、例えばの例を出しますと、借款プロジェクトといえども、例えばヨーロッパ諸国と実は競合しているんです。相手国に、ここに産業特区をつくりたいというような希望は一緒ですから、日本がやるかフランスがやるかドイツがやるかみたいになるわけです。そのときに、やはり、企業として一生懸命やるのは、ここで借款ということで注文をとると、例えば、三菱重工の何か大きなプロジェクトをとったとなれば、高砂製作所が稼働する、長崎造船所が稼働する、最後は丸山が潤う、そういうことまで考えてやっているわけなんですね。 だから、そういう観点からはきちっと、私は、もう一回タイド性を見直していく、今の時期はある程度、少々言われても国益追求してもいいんじゃないか、このように思っていますが、ちょっとその点、一言コメントを。
○麻生国務大臣 これは、タイド、アンタイドの話は、あのころは新聞にやたら書かれたんですよ。大体、新聞に言われたとおりやって当たったことは余りないんですよね、長期的に見ると。あのときは、間違いなくタイドイコール癒着というイメージをやたらあおられまして、たしか円が二百四十円から百二十円までに暴騰したあの時代でしたよ。そういったときになって、その後、九二年にバブルがはじけた後も円は上がり続けて八十円までいきましたから、そういったときの残滓をまだ引きずっておるという面は、私も否めない事実だと思います。 したがって、これは、どの程度までかという、ほどほどの中庸を得ないかぬというところなんですが、中庸を得るというのは役人の最も下手なところでして、右か左かきちんとやったとおりにきちんとやるのが役人ですから、そこの線引きの仕方が、これは物すごく難しいんだと思います。したがって、そこのところはきちんと政治が、この程度のものはというところはやっていかないかぬ、判断をせねばいかぬというのが政治に与えられている仕事だと思いますが、丸々アンタイド、丸々タイドというように、ちょっとそこらのところのバランスのとり方については検討してみる必要がある、私もそう思います。
○吉良委員 もう時間がなくなってきましたので、最後に二点だけ、またこれも提案というか問題提起をさせてもらいたいと思います。 この新JICA設立に当たっての資料を読ませてもらっても、経済産業省管轄下の貿易保険、NEXIについてのことがほとんどないんですね。実は、保険というのは大きな、ODAというカテゴリーにはならないかもしれませんけれども、広く経済協力という意味では非常に大事な要素なんです。もうちょっと時間があれば細かく言いたかったんですけれども、やはり保険もひとつ活用対象にぜひ入れていただきたい。 一例として、例えば、イラクのああいう戦争状態になったときに、物というのは危険であるがゆえになかなか動きづらい、また、保険がかからないから物が動かないということがあるわけですね。そういうときに、当然、日本も、NEXIの採算重視という観点からいきますと、なかなか出せない、だって事故に遭う確率が多いですから。ただし、援助という観点でとらえたならば、やはりイラクの例えば支援のために保険の枠を設けることによって物を動かしていく、人を動かしていく、こういうことによって相手国に対する十分な支援、援助になるわけです。 そういうことも考慮をいただきたいということと、最後に一点、災害ですね。ネシアの地震災害とかもありましたけれども、こういう財政厳しい折にいたずらに予算をふやせという気は毛頭ないんですが、中古でも何でもいいです、私は、国際災害救助船というものをぜひつくっていただきたい。 ですから、例えば、ネシア・スマトラ島でああいう問題があったときに、日本がばっと出航していくわけです。中型、小型タンカーでもいいですし、場合によっては船の改造でもいい、新造でもいい。そこには、例えば、船というのは御存じのとおり、ディーゼルエンジンが入っていますから、とめてやれば発電できるわけですね。だから、電線も、巻く式の電線を持っていく。しかも、船にはいろいろな建設機械を積んでおく、ブルドーザーだ何だと。何かあったら日本から真っ先にそこに駆けつけていって、そして上陸をして、そして瓦れきを除いて、そして電力を供給する、電力さえ供給すれば、その後いろいろな機械が来ても全部動きますから。 そういう災害救助船というものをつくって、日本というのは地震とそれから台風でこれだけ災害に見舞われつつ先祖代々生き抜いてきた国ですから、世界のいろいろな国で災害があったならば、日本が真っ先に飛んでいって、初期段階の一番難しい時期の貢献をしてくれる、そういうアピールをぜひしていただいて、主張する外交、援助、主張するODAということにしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○山口委員長 次に、武正公一君。
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