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国会発言録

No.017 168回国会「衆議院 内閣委員会 3号」  2007年10月26日


①平成19年10月26日 内閣委員会
○中野委員長 次に、吉良州司君。

○吉良委員 民主党の吉良州司でございます。
 七大臣からの大臣所信を伺ったのでありますけれども、きょうはその中でも、大田大臣、渡辺大臣、そして増田大臣に、その大臣所信に対する質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず最初に、大田大臣に対して質問させていただきます。
 先ほど、同僚先輩議員の大畠先生の方から、小泉改革についてどう思うんだということを質問されました。大田大臣の方からのコメントは拝聴いたしました。私は、これから大田大臣に質問させていただく前提として、私は大臣でもありませんが、私自身、問われてもいないんですけれども、どう評価しているかということをちょっと申し述べておきたいと思っています。
 私は、小泉改革、竹中改革、すべてよかったとは思っていないんですが、幾つかの点において私としては評価をしておるところがございます。一つは、あれだけ与党内からもたたかれてもたたかれても、財政出動なしで民間の力によって景気を回復させる、これにこだわって、もちろん都市部と地域との差等々ありますけれども、マクロで見たときに民間主導の景気回復がなされているという点であります。
 それともう一点は、これは私の持論なんですけれども、ある意味で小泉改革というのは、戦後復興から高度成長の中で、最初はみんな頑張っていたんだけれども、同じ企業の中、また社会の中でも、おれぐらいちょっと怠けてもほかの人が頑張っているから大丈夫だろう、こういう頑張らなくても報われる人がいたという社会に対して警笛を鳴らして、頑張らなければ報われないんだということをやったんだろうと思っているんです。
 ただ、私どもが問題としているのは、では頑張ったら報われるのかということと、その間に起こる格差をどうするんだという問題意識は持っていますけれども。今言ったような、頑張らない人は報われない、いわば、申しわけないですが私は自民党政権の途中からは官僚主導の社会主義政権だと思っておりますが、その社会経済を、先ほどおっしゃられたように、市場原理の中でもいいところを利用していくんだというメッセージを送って、また実行した部分については評価をしておるものであります。
 そういうことをちょっと前提に、うがった見方をされないために私自身の考え方をまず申し上げましたが、大田大臣の所信の中で、「日本経済は、二〇〇二年初め以降、息の長い景気回復を続けています。今後も、物価の安定基調を確実なものとし、民間主導の成長を持続させるよう努めてまいります。」もう一点、「本格的な人口減少社会の到来など種々の難題に直面しております。これを乗り切るため、改革と安定した経済成長のための取り組みを車の両輪として、ともに進めてまいります。」こういう所信がございました。
 この点について、私、二、三お尋ねしたいんですが、まず、結論から申し上げますと、物価を下落させながら経済成長するということが可能なのか。私は、経済学的には全くのど素人でありまして、まるで幼稚園、小学校の質問かもしれませんけれども、後ほど述べますけれども、そういう問題意識を持って大田大臣に質問したいと思います。
 まず、デフレ。前政権はとにかくデフレとの戦いであったと言ってもいいと思うんですが、デフレの要因とデフレの功罪、メリット、デメリットというものをいま一度大田大臣の口からコメント賜りたいと思っております。

○大田国務大臣 大変難しい御質問をいただきました。デフレの要因は、実体経済の面、金融の面、あると存じますが、実体経済の面でいいますと、やはり需要と供給の間にギャップがあって、何らかで需要が足りない、あるいは何らかで供給が過剰であるということであろうと思います。
 実体経済でいいますと、バブルが崩壊しまして、企業はバブルのときに、バブルのときの過剰な需要に合わせた設備を持ち、雇用を持ち、借金をしていた。それがバブル崩壊後に、一挙に過剰雇用、過剰債務、過剰設備になってあらわれてきたというところが原因だろうと思います。それを一生懸命今リストラしておりまして、デフレを、私どもは持続的に物価が下落する状態をいいますが、これは一応とまっております。持続的に下落する状態はとまっておりますが、これがもう二度とデフレに後戻りしないかというと、どうもそのとまった状態で横ばい、ずっと横ばっておりまして、また本当に後戻りしないかどうか、確実には言えない状態になっております。
 つまり、デフレ脱却が視野には入っておりますけれども、どうも足踏みをしている状態があります。これを本当の意味で安定した物価上昇に持っていくために、もちろんインフレはいけません、しかしデフレもいけませんので、安定した物価上昇に持っていくために、日銀とも連携をとって経済運営をやっていく必要があると考えております。
 デフレの悪い点ですけれども、やはり、企業からしますと、物価を上げられませんので、資材を調達するという意味では低く調達できますが、販売価格に転嫁できませんので、収益が圧迫される。そうしますと、はね返って賃金も上がらない、雇用機会がふえないという点が一つあります。
 それから、企業の場合は、やはり借り入れをしながら資金調達をして事業をやりますので、どうしても債務負担が大きくなる。家計にとりましても、債務をするところにとってはその負担が実質的に重くなってしまうというデメリットがございます。

○吉良委員 詳細な説明、ありがとうございます。
 私がなぜそういう質問をさせてもらったかといいますと、経済成長の恩恵をこうむる人たちというのは一体どういう人たちなんだろう。これまでの日本の社会といいますか、基本的には人口構成がピラミッド形で進んできておりましたので、今盛んに言われている少子高齢化というものを迎えた経済政策というのを実地に移したことがない。
 先ほど大塚議員の議論でもありましたけれども、今格差があると言われていても、企業業績が上がり、いずれそれが所得に、家計に回ってくる、こういう話でありますけれども、これからふえていく高齢者、いかに企業業績が上がったとしても、高齢者の所得というのは、先ほどの議論に出ましたように、やはり年金と、それから現役時代にためたなけなしの貯蓄、また退職金、こういうことでございまして、この方々には必ずしも経済成長で得られるメリットが行き届きづらい。しかも、その人たちの数がどんどんふえていくということであります。
 当たり前のことでありますが、そういう所得が伸びない人たちにとってみれば、より豊かさを感じられるというのは、当然物価が下がることであります。教科書的ではありますが、今おっしゃったデフレスパイラルに陥るようなことというのは、企業の売り上げ、利益が伸びない、もちろん債務が相対的に負担が大きくなる、こういう問題があるので、いわゆる経済成長のメリットが直接あらわれるところには当然経済成長ということがありますけれども、では、それを直接的に得られない方々に対しては、物価の、もちろん横ばいは最低限、当たり前なんですけれども下がった方が豊かさを感じられる。特に、経済成長からいけば、現役世代はどんどんその恩恵にあずかって、高齢者の人たちは横ばいということは、相対的に貧しさを感じてしまう、こういう問題意識があるわけなんです。
 そういう中で、先ほど言いました、本当に全くど素人だから聞けることだと思うんですけれども、物価を下落させながら経済成長というものが可能なのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。

○大田国務大臣 確かに、物価の上昇は高齢者世帯には直接きいてまいりますし、それは消費を抑制する要因にもなると思いますが、全体的にいいますと、物価が下落しながらの、つまり安定した物価がない中で、デフレの中での持続的な経済成長というのは、やはりないんだろうと思います。

○吉良委員 もちろん、高齢者と一言で言っても、それこそ戦後を生き抜いてこられて苦労された今の高齢者の方々と、思春期、若い時分にはミニスカートをはき、そしてビートルズを聞いて育ったこれからの高齢者とは、高齢者というイメージそのものも違いますし、よく言われるように、高齢者イコール弱者ではないと思っておるんですが、その弱者ではないけれども少なくとも所得が伸びない高齢者に対して、大田大臣が考えておられる施策。所信の中でも、社会保障改革の具体化ということで、税と社会保障の一体的設計による持続可能で安心できる仕組み構築のために、国民の受益と負担の水準についてわかりやすい複数の選択肢を示すということを所信でおっしゃられております。
 私は、この中でも特に複数の選択肢ということで、そういう世代世代による配慮を意図したものではないかというふうに勝手にとらえさせていただいているんですけれども、所信で述べられました、今私が申し上げた部分について、特に高齢者世帯を意識した施策というのはあるのかどうなのか。また、それに限らず、今、世代によって、生きてきた時代、また、これから生きていく時代が全然違うと思うんですが、そういう世代によって選択肢を提示するということをお考えなのか、その辺のところをお聞かせいただけますでしょうか。

○大田国務大臣 今、選択肢は、給付と負担の大きい選択肢を前回の諮問会議で一回お示しいたしました。これは、一回目でしたので、日本がこれから人口減少、高齢化を乗り越えてどうやって質の高い社会保障を維持していくのかという観点から、乱暴ではありますが、二つの極端な選択肢を出しまして、給付を今のまま維持したら負担はどこまで上がっていくのか、逆に、負担を上げないとしたら給付はどこまで削減しなくてはいけないのかという、やや極端なケースをお示しいたしました。ここで提示しましたのは、先生がおっしゃった世代ごとのというよりは、世代と世代の間の公平をどうやったら維持できるだろうかという観点から提示したものです。
 これがスタート地点ですので、まさに社会保障というのは国民の選択ですので、これから幾つかの選択肢を提示していかなくてはいけないと考えております。高齢世代の中でも、非常にここは格差の大きい世代でもありますので、所得の高い高齢者と低い高齢者がどうやって公平を保っていけばいいのかというようなことも考えていかなくてはいけないと思っております。
 それから、選択肢ということではありませんが、これまで社会保障の中でも議論してまいりましたのは、負担をふやすとか給付を削減する前に、もう少しコストを抑えられる面もあるのではないか。例えばカルテ、レセプトのオンライン化ですとか、そういうことで少しでもコストを下げることで、なるべく負担をふやさず、給付を直接的に減らさずできるのではないかといったようなことを考えてまいりました。
 これからも、世代ごとの特性、世代ごとのニーズ、それから世代の中での格差、こういうことにはきめ細かく考えていきたいと思っております。

○吉良委員 私が多少抽象的ながら今みたいな質問をさせてもらっているゆえんは、与党自民党はこれまで供給者の論理ということで政治を進めてきて、我々民主党は生活者の立場に立った政治ということを前面に掲げておるわけです。
 そして、その供給者の論理に立った現政府の志向といいますかを見ますと、あたかも経済成長が目的であるかのごとく受け取られてしまうんですね。経済成長が目的なのかというと、そうじゃなくて、青臭い話になりますが、本当は国民一人一人の幸せが目的なのであって、成長というのはその一つの手段でしかない、こういう問題意識を持っておるわけなんです。
 それで、成長することが必ずしも一人一人の幸せ、また今言ったいろいろな世代にとって幸せなのかという観点で話をしたいと思っていますが、といいますのは、やはり先ほどの大塚議員とのやりとりに関係するんですが、経済学の大先生を前に恐縮ながら、GDPというのは、個人消費があって、設備投資があって、政府支出があって、純輸出、日本の場合はこの輪で成り立っているわけですね。このうち、個人消費が伸びなくても、設備投資がふえて政府支出がふえて純輸出がふえれば、GDPはふえていくわけですね、成長はする。
 だけれども、一人一人が、心の安らかさ、幸せというのを除いて、経済活動での幸せということで言わせてもらえば、何か買いたくてしようがなかったものが買えたという、個人が消費をしたときに初めて幸せというのを感じられるわけでありますけれども、経済成長自体が自己目的化してしまうと、さっきの話じゃないですけれども、輸出企業が相対的に設備投資を多くする、設備投資によって設備投資部分が伸びる、当然輸出も伸びて輸出部分がふえる、税収が上がってその部分は政府支出もふえる環境が整えられるということで、どうも手っ取り早くGDPが伸びるというところに政策の集中が行われているように思えてなりません。
 私どもは、さっき言いました生活者の論理、その後ろには消費者の立場、納税者の立場というのを考えながら、やはり一人一人が幸せになっていくための経済成長というのは何なのだろうということを考えています。
 端的に言えば、どうやって個人消費がふえていくかということになるんですが、先ほどの議論でもございましたけれども、もちろん、今都市部の景気がいずれ地方に行くでしょう、今大企業の景気が中小企業にも及ぶでしょう、また企業の所得が個人にも及んでくるでしょう、こういうふうなことを言われておるんですが、グローバル化の中で、ある意味で賃金というものが、中国だのインドだの、東南アジアの人たちと比べる中にあって、なかなかそう回ってこない環境にある。
 そういう中において、マクロ経済的に個人消費を伸ばしていく、そのための、所得をふやしていくという策について大田大臣がどのようにお考えか、お聞かせいただけますか。

○大田国務大臣 大変重要な御指摘をいただきました。
 私も、GDPというものが、安定した消費が牽引する経済成長でなくてはいけないというふうに思っております。今、日本のGDPに消費が占める比率は五七%ですけれども、これがもう少しふえて、しっかりと消費につながるような成長でなくてはいけないと考えております。そのためには、消費をふやすためには、もちろん雇用が安定しなくてはいけない、よりよいサービスが生まれてこなくてはいけない、高齢者にとっても社会保障が安定していなくてはいけない、それから将来不安がないようにしなくてはいけない。いずれも難しい課題ですが、そういうことが言えるんだろうと思います。
 御質問の、足元のことについて申し上げますと、今回の景気回復は、やはり公共事業に余り依存しない、先生が最初におっしゃったように公共事業に依存しない回復でしたので、それだけに地域間でばらつきがあります。それから、企業のリストラの過程でしたので、企業から家計への波及がおくれております。
 そこで、まず第一には、この景気回復を持続させること、長く続けることはまずベースとして必要だと思っております。それから二番目に、そういう回復のメカニズムだけにゆだねるのではなくて、やはりそこには政策的に手を打つ必要がありまして、地域につきましては、増田大臣とも連携をとりまして、地域経済の立て直しという大きいプログラムを今策定中です。それぞれの地域の実情に合ったプランをつくっていきたいと考えております。
 それとあわせて、最低賃金を引き上げること、そして職業訓練をすることで、フリーターですとか今非正規雇用におられる方が職業能力を高めることで賃金を上げられるようにする機会を提供するということが必要だと考えております。もちろん、そのベースとして企業の側も、中小企業は特に、生産性を上げていけるような下請取引の適正化ですとか、生産性向上をやっていくことが必要だと考えています。

○吉良委員 ありがとうございます。
 今おっしゃっていただいたような具体的な施策になれば、恐らくは経済産業部門等で各論になってくるんだと思います。
 いずれにしても、先ほど申し上げましたように、経済成長自体を目的にするのではなくて、本当に国民一人一人の、青い話ですが、幸せというものを……(発言する者あり)はい、大事な政策をぜひお願いしたいと思っております。各論部分は、違う委員会でまた質問をさせてもらいたいと思っています。
 次に、大田大臣の大臣所信の中で、「対日投資の飛躍的拡大に向けて取り組んでまいります。」こういう話がございました。この対日投資の必要性というのは、聞こうと思ったんですが、もう恐らくわかり切ったことといいますか、今後、高齢化社会になっていく中で、成長に必要な国内の資金が相対的に減少していくだろうという中で、やはり活力を維持するための対日投資が必要だ、こういうふうに思っております。
 これに関連して、細かな中身を聞くつもりはないんですが、その促進策の一つとして、さきの通常国会で三角合併ということが実際に解禁され、つい最近もシティが日興コーディアルさんを買収するというような事例が出てきておりますが、なぜ前通常国会というようなタイミングで三角合併をする必要があったのか、その辺の議論の背景等をお聞きしたいと思っています。三角合併自体が担当じゃないと思いますので、マクロ経済的に必要だと思われた背景について、大田大臣の口からお聞きできればと思っています。

○大田国務大臣 先生も今御指摘くださいましたように、やはり高齢化が進む、そしてグローバル競争の中で、外資を脅威としてとらえるのではなくて、むしろ、その新しい技術、サービスを国内に持ち込み、国内に雇用機会をつくっていくということは重要なんだろうと思います。
 今、人口が高齢化する大きい転換点、しかも日本の家計貯蓄率も低下してきておりますので、ここで機動的に海外の企業が日本を魅力的な投資先と見て入ってきて、日本の経済を活性化していくということは重要なんだろうというふうに思います。そういうタイミングの中で、三角合併の議論がなされ、三角合併が認められるようになった。ただし、もちろん、単にペーパーカンパニーで入ってきたりということにはしっかりと歯どめがかかったというふうに思っております。
 したがいまして、人口が減るまさに転換点、そしてアジアも成長し、グローバル化が急速に進んでいく中で、そして日本の家計貯蓄率も減る中で、日本をより魅力ある投資先にしていくというぎりぎりのタイミングでこの議論がなされたというふうに私は見ております。

○吉良委員 私も、当初、三角合併と聞いたときには、今回のシティじゃないですけれども、米欧の会社ですとか投資ファンドあたりが主役になるんだろうと思っておりました。私も、今大臣おっしゃられたように、単なる脅威論といいますか、ハゲタカ論というものにくみする気はないんです。
 ちょっとお手元に出させていただきました資料、五枚物かと思いますけれども、ごらんいただきたいんですが、最初は、二〇〇七年十月二十四日現在の「世界の企業時価総額トップ二十五」という資料であります。ちなみに、この資料の作成者は中国に非常に詳しい私の友人でありまして、近々こういう資料を使って本を著すということで事前に資料をもらったので、これは私のオリジナルじゃありませんで、その方の了解を得て資料をいただきました。
 これをごらんになっていただけると、ちょっと愕然とするんですが、実は、世界の企業時価総額トップ二十五にトヨタが辛うじて二十五番目に登場しますけれども、二十五の中に、二番がペトロチャイナ、これは中国の石油会社さん、四番がチャイナモバイル、中国工商銀行、そして中国石油化、中国人寿保険、中国建設銀行等々、中国企業が八も入っているわけであります。
 三角合併の議論、また、先ほど大臣がおっしゃられた対日投資の必要性はわかるんですが、ここを解禁することによって、こういう中国系の企業が買収者たり得るということの政府内での認識がどの程度あったのかということと、それに関する議論はどういう議論がなされていたのか、お聞きできればと思います。

○大田国務大臣 その当時、日本の政府の中で、特におっしゃった中国企業についてどのような認識があり、どのような議論がありましたのか、恐縮ながら、ちょっと私は存じておりません。
 大変興味深い資料を御提示いただきましたが、一点だけつけ加えますと、この三角合併は、外資だけではなくて、日本企業がまた機動的な再編をするためにも、日本企業の競争力強化のためにも必要だったのだろうというふうに考えております。

○吉良委員 私は、きょうこの五枚の資料を出した中で、専門家の方々にとっては釈迦に説法となるわけでありますけれども、一般の国民も、日本というのはまだやはり世界第二位の経済大国というイメージが非常に強くて、恐らく、世界企業トップトゥエンティーファイブといえば、トヨタさんなり三菱UFJさん等々が五、六社入っているようなイメージを持たれているのではないかと思うんですけれども、残念ながら、失われた十年、十五年ということでしょうか、日本の企業は横ばいであってもほかが伸びて、相対的には落ちているという状況が続いていると思うんです。
 二番目をごらんいただきたいのでありますけれども、これは発行済み株式時価総額の東京証券取引所と上海証券取引所の実績と予想でありますが、二〇〇八年八月の北京オリンピックの際には、上海証券取引所の総額が東京を抜いてしまう。これは恐らく世界の金融関係者の中では衝撃的な事象だろうと思います。
 そして、三枚目を見ていただければ、今度これは、名目でありますがGDPの日中逆転というものも上海万博のころには起こる可能性が非常に大きいということをあらわした資料であります。
 そして、四枚目は、先ほど見せたトップトゥエンティーファイブの中にある、中国の上場している三大銀行の時価総額が、三行合わせて約八十八兆円。一方、日本のメガバンク三行は二十五兆円。三・五倍もの巨額の時価総額を誇っている。今回の三角合併によって、理論上というか実際問題として、中国の巨大銀行が、買う気になれば日本のメガバンクを買収できるということであります。
 こういうことについて、再度お伺いしますけれども、先ほどのどういう議論であったかということはおきまして、大田大臣自身が、こういうことで日本の会社が中国の企業に買収されるおそれがあるということについては、どう認識といいますか、お考えになりますでしょうか。

○大田国務大臣 三角合併、あるいは対日直接投資にしましても、それは企業間の判断でありまして、どこかの国はいい、どこの国は望ましくないということではないと考えております。したがいまして、中国であっても、あるいはアメリカであれヨーロッパであれ、それは企業の判断であり、対日直接投資一般論でいいますと、やはり外資は脅威ではなく、国内に新しい活力を持ってくる存在でもあると考えております。ただ、それが単なるペーパーカンパニーであったりというようなことは歯どめをかけていかなくてはいけない。
 それから、先ほど先生が御提示されましたグラフでいきますと、やはり証券取引所の機能、こういったものも立て直しを迫られていると痛感しております。今、諮問会議でもグローバル化専門調査会というのをつくっておりまして、金融資本市場の改革を議論しております。この中で、やはり日本が魅力的な投資先になり、なおかつ、アンフェアなことの行われない公正で透明な市場になるよう議論していかなくてはならないと考えております。

○吉良委員 九七年のアジア危機じゃないですけれども、米系の投資ファンド等によって、安く買って高く売って、売り抜いていくというような買収も問題がありますけれども、私がなぜ中国の会社による買収を恐れているかと申し上げますと、中国というのはある意味で、中国共産党があって、ホールディングカンパニーが中国共産党で、その子会社として国家があり、人民解放軍がある、こういうような構図だと思っているんです。この三大銀行にしても、それから資料の最後につけておりましたCOSCOという海運会社もそうなんですけれども、中国は経済の安全保障という観点から、銀行だとかエネルギー関連だとか通信、海運等の国家戦略の実動部隊と言ってもいいような会社は、いまだに六九%、七割の株を国家が保有しているわけであります。しかも、中国の場合はすべてに党の意思が優先するということがございますので、そういう中国の会社に日本企業が買収される。
 しかも、先ほど言った銀行だのエネルギーだの通信だの海運というような業種というのは、日本の経済安全保障という観点からも極めて大事な業種でありますけれども、そういう会社が中国からの会社に買われてしまう。そのときには、経済合理性というものではなくて、かなり政治的な意図を持って買われる可能性がある、こういうふうに思っております。
 もう回答は結構でありますが、投資は必要と先ほど大臣がおっしゃられたことは一〇〇%わかるわけでありますけれども、日本の経済安全保障というものを考えたときに、やはり日本のそういう企業を守っていく、または、そういう中国の経済合理性を超えたところの進出計画等についての対抗策を、政府の中でぜひ議論をし、講じていただきたい、こういうことをちょっと指摘させていただきます。
 それで、続いては渡辺大臣に対してなんでありますが、今申し上げましたように、中国は、私が申し上げるまでもなく、世界じゅうの資源エネルギーを爆食していると言っても過言ではないと思っております。
 私が特に気にしておることは、先進国、OECD加盟国の間では、例えば資源開発にしても、OECDガイドラインというのがあって、当然、金利条件だとか、それから融資の期間であるとか、もろもろの足かせといいますかがあるわけですね。それを、先進国の間では、ルールを守りながら、抜け駆けすることのないようにということで決められておるわけですが、今の世界状況を見ると、先ほどの世界のトップランキング二十五じゃないですけれども、中国の資源エネルギー系もそうでありますし、ロシアのガスプロムもそうでありますけれども、いわば国家そのものと言っていいような企業が世界じゅうの資源エネルギーを買いあさっている。そのために必要な援助というのは惜しまない。
 スーダンのダルフールに人民解放軍の工兵隊を送ってPKO活動に加担する傍ら、スーダンのオイルを初めとした資源をきっちり押さえていこうとしている。こういう国家と一体になった戦略、これに対して、果たして資源エネルギーがなければ生きていけない日本が抗し得るのか。
 同じく、まだいまだにエクソンがナンバーワンでありましたけれども、アメリカ、ヨーロッパあたりは、まだかつての石油メジャーと言われたような会社があるように、巨大な資本を誇って、国が必ずしも出ていかなくても、きちっとその辺の開発も供給もできるところがありますが、残念ながら日本の場合は、そういう巨大資本を持った民間企業もございませんし、エネルギー資源関係の企業もございません。
 そういう中で、JBIC、これはもう私ずっと言い続けておりました、もちろん決まったことではありますけれども。私も前、商社におりましたので、実際に、援助というものと、採算が合う、かつての日本輸出入銀行の国際金融と借款というのは、一体にして相手の国、企業に提示した方が、もちろん相手が興味を持つ、インタレストを示すということは非常に多いわけであります。 そういう中で、今申し上げた中国だのロシアが、国そのものが資源を爆食する中で、日本としてどう対応していくのか。これは渡辺大臣の所管ではないと思いますけれども、そういう中で、JBIC、かつてのOECFとJ―EXIMの国際金融業務の一体性をどう図っていこうとしておるのか。また実際、今でもまだ一体の方がいいのではないかという議論があると思うんですけれども、その辺についての渡辺大臣の所感を賜りたいと思います。

○渡辺国務大臣 委員御指摘のように、日本はOECD加盟国でございますから、当然、ODAのやり方もOECDガイドラインに沿ったやり方をしなければいけないんだと思います。
 さきの政府系金融機関の改革の議論は、行革推進法に基づいて行われたわけであります。開発援助の世界は、無償、技協、円借、こういったものを一体としてまとめた方がよりよい援助ができるではないかという発想のもとに、新JICAがつくられるものと理解をしております。
 一方、委員御指摘のように、資源の世界は、相当熾烈な争奪戦が世界じゅうで行われていることは私もよく存じているつもりでございます。日本には、JBICの資源ローンだけではなくて、例えば、貿易保険が資源のプロジェクトに相当活躍をしております。
 例えばカザフスタンのウラン鉱山開発プロジェクト、これは貿易保険、それからJBICともにかかわっています。マダガスカル、ニッケル鉱山開発、これも両者ともかかわっています。それから、サウジアラビア、ラービグ石油化学プラントプロジェクト、これも両者がかかわっているんですね。そのほかに、石天機構というのがございます。JOGMECと称しているもの。これは、昔の石油公団とそのほかのものが合体をしてできたわけですね。
 私は、こういったものの連携が非常にまだ足りないのではないかという気がいたしております。まさしく、国家戦略として資源の問題を考えるのであれば、こうした連携戦略をより一層高めていくことが大事ではなかろうかと思います。行革大臣ののりを越えた発言かもしれませんが、そういう感想を持っております。

○吉良委員 確かに、担当としてはある意味での制限があるんでしょうから、今の答弁になろうかと思います。
 これはいつも私言っているんですけれども、こっちは援助だ、こっちは採算も成り立つビジネスだと、皆さん現場の経験がない方はこうおっしゃるんですけれども、今おっしゃった無償だ技協だというのは、ある意味では慈善事業的な援助。ところが、借款と国際金融がかかわる、これは結構一体なんですね。
 今後、日本が原子力発電所等々の輸出といいますか援助をしていくときも、周辺部分は環境整備も含めた借款でやるけれども、その原子炉といいますか、発電所本体は日本の旧輸銀の金融でやるとか、どちらかといえば、私の問題意識は資源エネルギーの安定確保という経済安全保障の観点でありますから、その観点からいけば、さっき言った、今新しくつくったJICAではなくて、借款と国際金融業務の方を一体化すべきだと。これは、もう分かれてしまった以上はしようがありませんけれども、実務の中で一体的に運用し得るようにぜひ内部で検討いただきたい、このように思っております。
 ちょっと時間がなくなって、両大臣、済みません、もう結構でございます。ありがとうございます。
 増田大臣にお聞きします。 今回の大臣所信でも、先ほど大畠先生からもございましたが、地方が主役、地域主権ということを私自身もずっと訴えてきておりまして、これはもう方針としては大賛成なんですけれども、先ほども議論がありましたが、ではどうやって自立できる、具体的に進めていくかということになると、極めて難題が多いと思っております。
 まず増田大臣にお聞きしたいのは、よく言われる、都市部と地方で差が出てきた原因は何だとお考えになっておるでしょうか。

○増田国務大臣 今先生から御質問がございました都市部と地方の差でございますが、これは、地域の産業格差、その背景にございますのは、やはり地域の地理的な条件もあろうかと思います。それから地域産業の動向、また、労働力、少子高齢化などの進展といったようなものもあると思うんですね。地方では、現実の働き口といいますと、どうしてもやはり都市部の方に人口が吸い寄せられてしまう、こういうことがございます。そうしたことなどがさまざま絡み合っている。
 ただ一方で、地域の財政力の格差も大変大きくて、これは自治体の関係でございますけれども、税収が回復してくる中で、今の税制度の仕組みの中では、法人二税などはどうしても都市部に集まってくるということがございます。そこで、行政の方でさまざまな産業政策が十分に行き渡らないということが地方部でもございます。
 こんなことがございまして、今お問い合わせがございましたような地域間の格差が広がる、こういうことにつながってきたものではないかと考えております。

○吉良委員 ありがとうございます。
 私も今大臣が指摘された点も納得いくんですが、同時に、私の問題意識というのは、明治国家誕生以来、早く追いつけ追い越せの殖産興業。富国強兵は新しい時代はなくなりましたけれども、もともと、中央に国家の経営資源を集中させて、そこで国全体を富ませて、それを地方に配分するという国の形をつくってきたんだというふうに思っているんです。
 そういう意味では、私は、東京を中心とした都市部、特に東京と地方はもともと差があったんだと思っているんです。でも、その差を政策で埋めてきた。それが交付税であり、補助金であり、公共事業であり、そして工場立地等の工場分散だと思っております。
 そういう意味で、これだけ借金がふえた中で、今言った四つの中で、交付金も減らさざるを得ない、補助金もしかり、公共事業もしかり、工場立地については、グローバル化の影響があって、工場があるからといって前ほどその地域が潤わないというような体質になってきている。
 そういう意味で、これからの地方が抱える難題というのは、財政的な中央からの支援というのはもう望めないという中で、やはり、さっきのお話じゃないですけれども、地方が暮らしやすい、地方に暮らす人たちが幸せを感じるというのをつくっていかなければならない。そのためには、依存から自立、もうこれ以外ないと思っているんです。
 私も大分という地方の議員でありますので、大分へよかれと、できればお金を持って帰りたいと思いますけれども、同時に、長い目で見れば、親が子供を厳しくしつけるように、やはり自立せよ、自立せよ、自立せよということを叫び続けていく、少々苦しくても叫び続けていくことが必要じゃないかというふうに思っておるところであります。
 その意味で、今の地方再生議論の中で足りない点が私は時間軸の観点だろうというふうに思っているんです。
 何が言いたいかといいますと、今のままの制度を続ければ、ずっと依存というものが続いてしまう。ですから、例えば三十年後とか四十年後とかには、もう中央からの財源配分は基本的にはなくなりますと。さっき法人二税のお話がありましたけれども。ただし、最初のうち、今現在は税源、権限を移譲して、この三十年間、四十年間のうちに自立するプランを作成せよ、それを具体化せよ、こういうような考え方が必要になろうかと思っているんですが、この辺についての、私の依存から自立へということについての大臣の見解を賜りたいと思います。

○増田国務大臣 今の、時間をよく考えながら今後の対策を考える、これは大変重要な御指摘だと思います。今すぐに全国多くの地域が変わっていく、そういうのはなかなか難しいわけでありますが、しかし、今後に向けて、いわゆる不交付団体をふやして、それぞれが財政を自前のところで獲得しつつ、自立に向けて自助努力をベースにして成り立っていく、こういう世界をこれからの将来の目標として、私ども、しっかり据えておかなければならないだろう。
 当面、ことし、来年、再来年に向けてのさまざまな交付税の問題等について、私どもは解決策を提示したいと思っておりますが、行く先の目標として、本当にかなり長期の目標になりますが、財政を中央からの移転に頼らないような、そういうしっかりとした国づくり、こうしたことに向けて努力していきたいと考えております。

○吉良委員 それについて、道州制等についてもお話ししたかったんですが、もう時間がなくなりましたので、最後に、もう言いっ放しになるかもしれませんけれども、地方再生大臣というより、多少総務大臣という立場になるかもしれませんので言いっ放しになるんですが、私は、地域が自立していく上で非常に大事なことは地域経営という感覚だと思うんです。もう増田知事はまさにそれを実践されておったと思うんですけれども、その地域経営をしていくときに大事なことは、今後、地域の経営者を選んでいくという選挙制度だというふうに思っているんです。
 今から言うことは、地方議員の定数を大幅に削減しなければならないということなんですが、もちろん、それに先立っては我々国会議員の定数を削減しなければいけませんけれども、その上で、例えば私どもの大分市は、四十六万人の人口で四十六人、市議会議員がおります。けれども、私は、地方経営の時代は、民間企業が昔三十人も四十人もいた役員を、七、八人の取締役と、あとは執行役員としているように、本当に経営者として忌憚のない議論をするために、そういう経営者を選ぶという地方議員選挙にしなければいけないというふうに思っているんです。
 かといって、今地方任せにしておいたら、やはり今回の合併も、まずはインセンティブを前にぶら下げなければ合併が進まなかったように、なかなか任せていてもうまくいかない。私は地域主権主義者でありますから、本来なら地域の自主性をとことん重んじたいのでありますけれども、最初の一押しは、今言った地域経営の時代の一押しについては、ある程度国が推し進めなければいけないというふうに思っております。
 ちょっと地方再生大臣と総務大臣の微妙な境目かもしれませんけれども、一言だけコメントをお聞きして、終わりたいと思います。

○増田国務大臣 今、私にとりましても非常に共感するような御提案も含めて御意見があったと思います。
 やはり、それぞれの議会の、それから直接の首長公選制の中で住民が地域経営者を選ぶ、こういう視点が大変大事だろうと思いますので、今後、さまざまな我々の行政の中にもそういった考え方というのをよく踏まえながら行っていきたい、こんなふうに思いまして、今の御提言をお聞きしていたところでございます。

○吉良委員 前向きの御答弁、ありがとうございます。
 以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。


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